[P-2-192] Voxel Based Morphmetory (VBM)評価方法によるアルツハイマー病の早期診断
【目的】認知症に対する先制医療が必要とされているが、PiB陽性MCIはアルツハイマー病(AD)の前段階として分類されている。今回我々はVBMによるMRIの評価がPiB陽性と陰性のMCIの鑑別に有用であるかを検討した。【方法】ADNIデータのうちPiB-PETをしている103例のうちADを除く84例について検討した。内訳は、PiB陽性MCI48例(平均年齢74.6)、PiB陰性MCI17例(73.8)、PiB陽性健常者10例(77.4)、PiB陰性健常者9例(76.4)。VBMには国内で汎用されているVSRAD-advanceと滋賀医科大学で開発されたBAADを用いた。【結果】PiB陽性と陰性のMCIの鑑別において、VSRADで算出されるz値(両側と左右の関心領域の3因子)ではROC曲線下面積が0.65であった。BAADの98関心領域のうち、左右の側頭葉内側の関心領域(海馬、嗅内野、扁桃核)で同様に解析すると0.84であった。さらに、BAADで帯状回と頭頂葉を含めると0.95となった。PiB陽性MCIとそれ以外(PiB陰性MCI、健常者)との鑑別をBAADで側頭葉内側と帯状回と頭頂葉で実施するとROC下面積は0.92であった。【考察】BAADの結果は、高いPiB陽性MCIの鑑別能を示した。側頭葉内側の関心領域でVSRADとBAADで大きな差が出たのは、BAADはTIVと年齢をANCOVAに含めているためと思われる。PiB陽性のMCIはADにコンバートする危険性が高く、早期の治療介入を必要とするが、BAADはこのための補助診断として有用と思われる。