[P-3-196] MRIの拡散強調像を用いた肝線維化の評価:切除組織所見と拡散係数との後方視的比較検討
目的肝腫瘍にて切除された組織片の非腫瘍部分の肝組織の線維化gradeと術前に施行されたMRI画像から得られた組織学的評価部位のADC値とを比較し,ADC値が線維化gradeの評価に有効であるか後方視的に検討する.対象および方法肝腫瘍切除術が施行された62例71結節を対象とした.C型慢性肝炎12例,B型慢性肝炎4例であった.MRI装置は1.5T超伝導装置を用いた.拡散強調像は呼吸同期にて撮像した.撮像シークエンスはTR/TE: 1500/66 msec, matrix, 128×128, スライス厚5mm, ギャップ1mm,6 NEX, FOV 40cm, PAT factor 2, b factor 100, 800 s/mm2, chemical shift selective fat suppressionにて撮像した.ADCの測定は,ADC map上で腫瘍から5mm離れた非腫瘍部の肝実質に円形ROI(100mm2)で測定した.病理組織学的検討は腫瘍辺縁から5mm離れた部位で評価を行った.病理学的評価は新犬山分類を用いた.ADCの測定の際は,病理組織学的検討を行った切片になるべく近いところで測定を行った.線維化gradeによりADC値に違いがあるかKruskal-Wallis検定を行った.また,各線維化grade間での有意差,F0-2とF3, 4での間で有意差があるかMann-Whitney検定を行った.結果線維化grade 0-4の各ADC値の平均±標準偏差は,それぞれ,1.05±0.20, 1.00±0.10, 0.96±0.11, 0.94±0.13, 0.90±0.13(×10-3mm2/s)であった.線維化gradeによりADC値に有意差が認められた(p=0.046).各線維化grade間においては線維化grade 0と4,1と4の間で有意差が認められた (p=0.009, 0.011).また,F0-2とF3, 4間で有意差が認められた(p=0.007).結論拡散強調像のADC値で線維化gradeを評価できる可能性がある.