[P-3-208] 腹部脂肪抑制T2強調画像撮像における2種のナビゲータトリガー法の比較
【目的】上腹部MRI撮像において、脂肪抑制T2強調画像(FS-T2WI)の撮像には呼吸運動とデータ収集を同期させるナビゲータトリガー法が広く使用されており、当院のMRI機器では、横隔膜の動きをナビゲータとする肝円蓋部ナビゲータ(dome navi)と肝実質の動きをナビゲータとするフェーズナビゲータ(phase navi)の2手法が選択可能である。今回我々は、上腹部MRI検査でのFS-T2WIの撮像において、dome naviとphase naviのいずれの手法が有用であるかを検討した。【方法】装置はSIEMENS 1.5T areaを使用した。対象は肝疾患の精査目的にてMRI検査を行った50症例において、2つのナビゲータトリガー法(dome navi,phase navi)でFS-T2WIを撮像した。25例はdome naviを、残り25例はphase naviを先に撮像した。得られたFS-T2WIにおいて肝門部レベル4点(外側区、内側区、前区、後区)で肝実質のsignal intensityとstandard deviationを測定し、signal-to-noise ratio (SNR)を算出して比較した。また、視覚的に4段階評価(excellent,good,fair,poor)による画質の評価を行った。【結果】撮像時間は2手法間に有意差は認められなかった(dome navi, 226.6 sec; phase navi, 225.0 sec; P=0.804)。肝実質のSNRはphase naviの方がdome naviと比較して高い結果となった(phase navi, 7.46; dome navi, 7.12; P=0.804)。画質の視覚的評価では2手法間に有意差は認められなかった(p=0.261)。また、撮像の順序による影響も認めなかった(p=0.998)。【結語】Dome naviと比較して、phase naviを用いたFS-T2WIでの肝実質のSNRは高かったが、視覚的評価においては画質に有意差が認められなかった。両者の有用性は同等と考えられた。