第42回日本磁気共鳴医学会大会

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ポスター

マイクロイメージ・基礎

マイクロイメージ・基礎

Sat. Sep 20, 2014 9:30 AM - 10:12 AM ポスター会場 (5F ロビー)

座長:服部峰之(産業技術総合研究所 電子光技術研究部門光センシンググループ)

[P-3-210] 生体内の遅い流動の定量計測のためのファントム実験

吹田敦, 寺田康彦, 巨瀬勝美 (筑波大学大学院数理物質科学研究科 電子物理工学専攻)

【はじめに】生体中には樹木の樹液流などのような非常に遅い流れがある.このような流れの検出が低磁場(0.2T)のMRIシステムを用いてどこまで可能であるかを知るために位相シフト法を用いたファントム実験を行った.【方法】実験には静磁場強度0.2T,磁極間ギャップ160mmの永久磁石を用いた.各方向の勾配磁場効率は,Gx=0.126 [G/cm/A],Gy=0.126 [G/cm/A],Gz=0.274[G/cm/A]である.流れファントムは,内径4mmと内径8mmのアクリルパイプを各2本用い,全てを直列に接続して,鉛直上方と下方に水が流れるようにした.このファントムに上方に置いたタンクから水道水を定常に流し計測を行った(図左).撮像に用いたシーケンスは,FOV12cm×6cm,matrix size256×128,スライス厚20mm,TR=1000ms,TE=200msのスピンエコーシーケンスで, MPGをパルス幅δ=2ms,パルス間隔Δ=102msで印加し,流量と勾配磁場強度を変化させて位相シフト量を計測した.【結果と検討】下図右に,平均流速が1.26mm/sのときの直径8mmのパイプの中心軸を通る位相シフトのプロファイルを示す.このように,位相シフトには,主に熱雑音に起因するノイズが重畳しており,これが計測の限界を決定する.現在の実験条件でこれを流速として評価したところ0.4mm/sであった.この計測限界は,MPGの大きさや画像のSNRで決定され,信号積算回数や撮像バンド幅の影響も受けるため,それらを最適化してさらに計測限界を追求したい.