[S1-3] 高解像度fMRIを通してヒト視覚皮質について学んだこと
始めに、高解像度(1mm以下の空間解像度)機能的磁気共鳴画像(fMRI)法を用いてヒト第1次視覚皮質を調べるため我々が行ってきたこれまでの尽力について短く概観し、後半では4テスラMRI装置で実施された3つの未発表研究から得られた結果を紹介する。最初の研究では、直接的マッピングと非直接的デコーディングアプローチの両方を使い、ヒト1次視覚野における方位選択性構造の存在について確証が得られた。ここでとりわけ、大きめの流出静脈が方位選択性BOLD信号に多大な影響を及ぼすことが分かった。この結果は極めて驚くべきものであり、あらゆる空間スケールにおける流出静脈のより詳細な解剖学的、機能的研究の必要性が明らかとなった。第2の研究では、fMRIデータの空間解像度を制御し、1)イメージングボクセルの空間解像度と2)方位選択性ボクセル比率の組織立った増減、3)ヒトMT複合体(hMT+)における方向選択性ハイパーコラムに内在する繰り返し周期性の間の幾何学的関係を調べた。このアプローチにより、hMT+におけるハイパーコラム構造の平均サイズは短い辺について0.7mm程度であると推定できた。最後に、第3の研究ではヒト後頭側頭皮質において物体選択性応答を調べており、さらなる高解像度でこのような実験を行うことで得られる無二の恩恵について焦点を当てる。