14:10 〜 14:50
[CL1-01] パーキンソン病患者の症状の背景に潜む自覚と他覚の差異
進行期パーキンソン病 (PD)患者には、薬物療法の効果が得られずリハビリテーションによる治療が期待される運動症状がある。その運動症状の一つが姿勢異常である。姿勢異常の背景には、他覚的に外部観察しただけでは把握できない病態があり、PD患者の自覚と観察者の他覚の差異が存在する。この差異について理解しながら病態解釈をすることがリハビリテーションプログラム立案に重要な視点と考えている。
PD患者の姿勢異常には、腰曲がりや斜め徴候などがあり、他覚的には整形外科疾患の円背や側弯症と類似した症状を呈する。しかし、顕著な前屈姿勢でもまっすぐに臥位をとれる可逆性があること、姿勢の傾きを自覚しにくく無理に修正すると側屈側と反対に傾いているように感じること等、整形外科疾患の円背や側弯症とは異なる特徴をもつ。我々はこれまでに、前屈や側屈姿勢のあるPD患者の主観的な垂直肢位(SPV:Subjective postural vertical)を調査し、前屈や側屈姿勢のあるPD患者ではSPV自体が前屈や側屈方向に偏移していることを報告してきた(Mikami K, et al. 2017, 2020)。すなわち、前屈や側屈のあるPD患者は、行為の基準となる垂直肢位が偏移しているために姿勢の傾きを自覚しにくく、このことが適切な修正が困難であること、他覚的な垂直肢位に修正しても維持することができないことの背景に存在していることを示してきた。
姿勢異常の他にも、実地臨床ではすくみ足や小字症のあるPD患者にも自覚と他覚の差異が病態の背景に存在していることを経験する。本講演では、実地臨床で経験する様々な自覚と他覚の差異がある症状とその症例を紹介し、それらの病態の解釈と我々の取り組みを紹介したい。
PD患者の姿勢異常には、腰曲がりや斜め徴候などがあり、他覚的には整形外科疾患の円背や側弯症と類似した症状を呈する。しかし、顕著な前屈姿勢でもまっすぐに臥位をとれる可逆性があること、姿勢の傾きを自覚しにくく無理に修正すると側屈側と反対に傾いているように感じること等、整形外科疾患の円背や側弯症とは異なる特徴をもつ。我々はこれまでに、前屈や側屈姿勢のあるPD患者の主観的な垂直肢位(SPV:Subjective postural vertical)を調査し、前屈や側屈姿勢のあるPD患者ではSPV自体が前屈や側屈方向に偏移していることを報告してきた(Mikami K, et al. 2017, 2020)。すなわち、前屈や側屈のあるPD患者は、行為の基準となる垂直肢位が偏移しているために姿勢の傾きを自覚しにくく、このことが適切な修正が困難であること、他覚的な垂直肢位に修正しても維持することができないことの背景に存在していることを示してきた。
姿勢異常の他にも、実地臨床ではすくみ足や小字症のあるPD患者にも自覚と他覚の差異が病態の背景に存在していることを経験する。本講演では、実地臨床で経験する様々な自覚と他覚の差異がある症状とその症例を紹介し、それらの病態の解釈と我々の取り組みを紹介したい。