Riabilitazione Neurocognitiva 2021

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クリニカル・セミナー

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クリニカル・セミナー① -We-modeと行為の障害-

Sun. Oct 24, 2021 2:10 PM - 3:30 PM 第1会場 (ライブ配信)

座長:大松 聡子(国立障害者リハビリテーションセンター病院)

2:50 PM - 3:30 PM

[CL1-02] 脳損傷後に生じる行為の障害を理解する

*花田 恵介1 (1. 阪和記念病院)

麻痺や体性感覚障害がないか,あってもごく軽いにもかかわらず,ふだん何気なく使っていた道具をうまく使えなくなった脳損傷後の患者に出会うことがある.その代表的な症状は「失行」と呼ばれ,失語や失認にならぶ代表的な神経心理症候の1つである.Liepmannは,3つの失行型(観念性失行,観念運動性失行,肢節運動失行)を提案しており,本邦でもこの類型に準じるのが通例である.しかし,失行には定義や特徴づけに多くの考え方があり,全く異なるメカニズムを持つ行為障害であっても同じ「失行」と名付けてしまっている場合がある.また,国内外で使用されている失行検査は,患者に症状があるか否かを見極める際に有益である一方,患者の生活障害への介入を導くものとはなりにくい.そのため,患者に見られる行為の問題を既存の症候に当てはめることは,セラピストにとってあまり意義がないように思われる.それよりも患者の生活行為を分析的に観察し,戦略を持って問題解決的に関わることが重要である.また,行為の障害は抽象的な説明になりやすいため,セラピストと患者・家族が共有できる形に落とし込んで呈示することが求められる.
 演者は,山鳥(1994)の報告が患者や家族と共有できる視点として有益ではないかと考えている.山鳥は,道具使用は少なくとも次の4つの過程から構成されるとしている.すなわち,(1)患者が実際に道具を手に持つ過程,(2) 道具によって働きかけられる操作対象に道具を向ける過程,(3)道具を操作する過程,(4)道具操作の結果としての効果が発現される過程である.この過程を分けて患者の行為障害を整理すると,介入すべき行為の過程が明確になる.介入すべき行為が明確になれば,患者に対処法を伝えたり,援助の方法を他の医療者や家族に伝えたりする際にも活かすことができる.学会では,この視点をもとに具体的な症例を呈示したいと考えている.