Riabilitazione Neurocognitiva 2021

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クリニカル・セミナー

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クリニカル・セミナー② -We-modeと臨床展開の可能性-

Sun. Oct 24, 2021 3:40 PM - 5:00 PM 第1会場 (ライブ配信)

座長:沖田 学(愛宕病院)

3:40 PM - 4:20 PM

[CL2-01] 自律性と医療コミュニケーション
ー Shared Decision Makingの可能性 -

*尾川 達也1,2 (1. 西大和リハビリテーション病院、2. 畿央大学大学院健康科学研究科神経リハビリテーション学研究室)

自律性(Autonomy)の定義は多岐に渡るが、医療の文脈においては、「患者自身が治療の意思決定を行うこと」という意味で用いられることが多い。そして、この自律性を尊重することは、医療における基本的な倫理原則(Beauchamp TL, & Childress JF. 1979)の1つとされ、患者個人の目標に基づく治療を提供するリハビリテーション医療においても、意思決定への患者関与の重要性は共通認識ではないだろうか。にもかかわらず、現在わかっていることは、患者が目標や治療の意思決定プロセスに関与できておらず、受動的な役割を認識しているという実態であり(Schoeb V, et al. 2012)、患者との対話を見直す必要性が指摘されている。
このような背景もあり、近年ではShared Decision Making(以下、SDM)という意思決定方法がリハビリテーション医療においても関心が高まっている(Moore CL, et al. 2018)。SDMとは、医療者と患者が共に参加し、治療の選択肢やその長所・短所を話し合い、患者の価値観や嗜好、状況を考慮した上で、意思決定を行うプロセスと定義されている(Hoffmann TC, et al. 2014)。つまり、SDMは患者の自律性を尊重しながら、二者間での合意を目指す方法論であり、“We-mode cognition”を成立する手段の1つとなり得る可能性がある。また、このSDMによる患者への効果としては、高い治療満足度だけでなく、知識や理解、アドヒアランスの向上など学習に関わるアウトカムでも報告されている(Shay LA, et al. 2015)。
では、全ての臨床状況において、我々セラピストは患者との双方向的な意思決定を目指すべきなのだろうか。この問に対しては、今後も議論の余地があるものと考えられる。本セミナーでは、“We-mode cognition”の中でも患者とセラピスト間の医療コミュニケーションに焦点を当て、SDMの可能性について概説していく。