Riabilitazione Neurocognitiva 2021

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実践報告

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実践報告1[歩行・姿勢制御] 

Sun. Oct 24, 2021 1:00 PM - 2:30 PM 第2会場 (ライブ配信)

座長:菊地 豊(脳血管研究所附属美原記念病院)

1:50 PM - 2:10 PM

[PR1-03] 脳卒中片麻痺患者の歩行再建に向けた認知神経リハビリテーションの試み
ー 重度運動麻痺を呈した症例に対する臨床推論から考える ー

*橋本 宏二郎1 (1. 摂南総合病院)

ヒトは何のために何処へ向かって歩くのか.歩行とは行為であり,行為には意図と目的がある.脳卒中片麻痺患者(以下,片麻痺患者)は運動麻痺や感覚障害に加え,高次脳機能障害など多岐にわたる要因により,歩行能力の低下をきたす.したがって,片麻痺患者の歩行能力の再獲得は,リハビリテーションにおける主要なゴールのひとつである.先行研究(C.Beyaert et al,2015)では,片麻痺患者の歩行訓練には麻痺側を考慮した様々な歩行訓練の有用性が示されている.
片麻痺患者の代表的な歩行にぶん回し歩行という代償歩行がある.この代償動作について,宮本(2014)は,認知過程を簡略化した結果であると述べ,Perfettiは,片麻痺患者は身体を細分化出来ず,環境との相互作用が変質して情報が構築できない結果であると述べている.したがって,片麻痺患者の歩行再建には,患者とセラピスト双方の認知過程を考慮した身体の細分化と情報の構築という観点が重要である.
今回提示する症例は,広範囲の脳梗塞により重度の運動麻痺を呈し,歩行が困難となった右片麻痺患者である.症例は,重度の運動麻痺に加えて,脳梗塞を患った自身の身体に対して志向や行為の自覚ができず,歩行が困難となっていた.我々は,日々の臨床の中で患者の行為の回復のために,患者の認知過程にアクセスして,仮説-検証を繰り返している.つまり,臨床では,患者とセラピストの間に間主観性の関係が存在していると考える.本症例においても,リハビリテーションという自己と他者との関係性の中で,自己身体に対する志向性に変化を認め,歩行が可能となった.  
我々が実践している認知神経リハビリテーションは,患者の認知過程を考慮した脳と身体への直接的な介入と言えるのではないだろうか.その点について,今回の臨床推論と志向性の変化および歩行機能の回復に至った経緯を提示することで,皆様と議論したいと思う.