Riabilitazione Neurocognitiva 2021

Presentation information

実践報告

ライブ配信 » 実践報告

実践報告2[上肢・高次脳機能障害]

Sun. Oct 24, 2021 2:40 PM - 4:10 PM 第2会場 (ライブ配信)

座長:中里 瑠美子(東京女子医科大学東医療センター)

2:40 PM - 3:05 PM

[PR2-01] 記憶障害における外的代償手段の適切な利用が困難であった症例に対する介入報告
ー 代償手段の利用に至る認知過程の共有を通じて ー

*藤原 瑶平1 (1. 村田病院)

記憶障害の外的代償法として,電子機器の利用が注目されている.外的代償手段の利用には,自己の記憶機能に対しモニタリングを行い,代償するためにはどのように利用すべきかというメタ記憶が重要とされている(原,2005).今回,記憶障害の外的代償手段を適切に利用することが困難であった症例に対し,代償手段を利用する行為に至る認知過程を症例と共有することで改善を認めたため報告する.
症例は,本報告に同意を得た20歳代女性である.頭蓋内咽頭腫の術後にエピソード記憶障害を認め,回復期病院退院後に当院で外来リハを開始した.外来リハ開始時,記憶障害の代償手段として,携帯電話のアプリケーション(アプリ)を利用してスケジュールや服薬の管理を行っており,日常生活に大きな問題は認めなかった.しかし,記憶障害に対する不安から,1日の出来事を1事象ごと詳細にアプリに入力するなど,代償手段に過剰に依存していると考えられる場面が観察された.代償手段を利用して1年後,1日の出来事を詳細に入力するといった行為に対し,「こんなことを続けていていいのか,やりすぎではないか」といった不安の訴えが増えてきたため,利用法を再検討する必要があると考えた.症例は,代償手段に依存傾向で入力する量を減らすべきということは自覚していたが,自己の記憶機能をモニタリングし,適切な利用への修正は困難であった.また,セラピストが現状の病状を説明し,適切な利用法を提示しても修正することは困難であった.そこで介入では,記憶機能のモニタリングに加えて,代償手段を利用する行為に至るまでの認知過程を症例と共有しながら,利用法について症例と共に検討した.介入後,自発的に自己の記憶機能をモニタリングし,それによる適切な利用へと改善を認め,不安の訴えも無くなった.本報告では,行為に至る認知過程や修正案の共有についての考察を深め,議論する機会としたい.