15:30 〜 15:50
[PR2-03] 失語,失行,注視障害によるコミュニケーション障害に対して介入した一例
ー 非言語的コミュニケーションの獲得を目指して ー
【はじめに】
今回,失語,失行並びに注視障害による左半球損傷患者のコミュニケーション障害に対し,非言語的な表現理解を目的に症例と課題のテーマを共有し訓練を行った.結果,これらの重要性を理解し,一定の症状改善が得られた.以下に経過と考察を交え報告する.
【症例紹介】
80代男性.左側頭葉に皮質下出血を認め,リハビリ目的にて発症約3週で当院へ転院となる.意識は清明.SLTAでは長文理解と喚語困難を認めた.SPTAにおける慣習動作,構成模倣では無反応や無定形反応を認めた.また,視野障害として右同名半盲があり,麻痺や感覚障害は認めず,日常での自発動作は良好であった.本人からは右側の見え難さのみ訴え,入院の目的は理解できていなかった.
【経過】
開始時,表情課題で手元にのみ注視しており,さらに頷きと首振りの識別が困難だった.そのため,頭部の動きと視線との一致課題を行い表情課題中の視線の共有を図った.結果,視線を交えながら課題を遂行することが可能となったため,他動詞,自動詞ジェスチャー課題へ移行し,非言語的表現の改善を目指した.この一連の流れの中で日常での自発的な会釈などの挨拶や他患者の回復度などへの発言を認め,表情理解の重要性を語るようになった.また,喚語困難な言葉を別の表現に変えて伝える事も増えた.最終時のSPTAでは,開始の遅延や拙劣さを認めたが,誤反応率に改善を認めた.
【考察】
河野ら(2019)は,左半球損傷患者の注視障害を指摘しており,本症例も同様の傾向を認めた.この注視障害により視覚情報が限定的であることや,失語による換語への注意偏移,失行症状としてのジェスチャー理解の低下が非言語的な表現理解に影響を及ぼしていたと考える.今回,表情理解の重要性を自覚できたことがその後のより複雑な情報統合が必要な課題に対しても指向的に訓練に臨むことが可能となり,一定の改善が得られたと考える.
今回,失語,失行並びに注視障害による左半球損傷患者のコミュニケーション障害に対し,非言語的な表現理解を目的に症例と課題のテーマを共有し訓練を行った.結果,これらの重要性を理解し,一定の症状改善が得られた.以下に経過と考察を交え報告する.
【症例紹介】
80代男性.左側頭葉に皮質下出血を認め,リハビリ目的にて発症約3週で当院へ転院となる.意識は清明.SLTAでは長文理解と喚語困難を認めた.SPTAにおける慣習動作,構成模倣では無反応や無定形反応を認めた.また,視野障害として右同名半盲があり,麻痺や感覚障害は認めず,日常での自発動作は良好であった.本人からは右側の見え難さのみ訴え,入院の目的は理解できていなかった.
【経過】
開始時,表情課題で手元にのみ注視しており,さらに頷きと首振りの識別が困難だった.そのため,頭部の動きと視線との一致課題を行い表情課題中の視線の共有を図った.結果,視線を交えながら課題を遂行することが可能となったため,他動詞,自動詞ジェスチャー課題へ移行し,非言語的表現の改善を目指した.この一連の流れの中で日常での自発的な会釈などの挨拶や他患者の回復度などへの発言を認め,表情理解の重要性を語るようになった.また,喚語困難な言葉を別の表現に変えて伝える事も増えた.最終時のSPTAでは,開始の遅延や拙劣さを認めたが,誤反応率に改善を認めた.
【考察】
河野ら(2019)は,左半球損傷患者の注視障害を指摘しており,本症例も同様の傾向を認めた.この注視障害により視覚情報が限定的であることや,失語による換語への注意偏移,失行症状としてのジェスチャー理解の低下が非言語的な表現理解に影響を及ぼしていたと考える.今回,表情理解の重要性を自覚できたことがその後のより複雑な情報統合が必要な課題に対しても指向的に訓練に臨むことが可能となり,一定の改善が得られたと考える.