Riabilitazione Neurocognitiva 2021

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一般演題

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神経系(上肢)

[S2-07] 非麻痺側肢に拙劣さがみられた右延髄梗塞例に対する更衣動作自立に向けた両手動作への介入

*前田 みはる1、國友 晃1、沖田 かおる2、沖田 学1 (1. 愛宕病院 脳神経センター ニューロリハビリテーション部門、2. 愛宕病院 リハビリテーション部)

【はじめに】
 延髄梗塞により左側に運動麻痺と重度感覚障害を呈し、右手にも拙劣さがみられた症例を担当した。麻痺肢の認知運動課題と並行して両手の協調的な使用を促した結果、更衣動作の獲得に繋がったため報告する。

【症例紹介】
 症例は右延髄梗塞を発症しリハビリ目的で入院した70歳台の女性である。発症10週後の左側のBr.stageは上肢Ⅳ・手指Ⅳで左手指表在覚と手関節・手指の深部覚が重度鈍麻であった。左側の上肢FMAは45/66、WMFTの遂行時間は192.31秒、FASは38/75であった。左手使用時には過剰な出力と肘・手関節の放散反応が出現し、「見ないとどう動いているか分からない」と発言した。加えて右手把持力においても過剰な出力が認められた。左手で物品を把持した状態で1.2㎝の立方体を右手で積み上げる両手動作では、5個積み上げたが性急なリリースになる特徴があった。更衣動作では袖通しやボタン操作が右上肢のみでは困難であった。

【病態解釈】
 左上肢の運動困難感や知覚能力の低下によって動作を認識修正できず、動作時に過剰な出力や放散反応が出現していたため動作学習ができなかった。さらに右手操作時にも力量調節の困難さが生じて両手の協調的な使用ができないことが更衣動作の自立を阻害していると考えた。

【認知運動課題と経過】
 左上肢の運動距離・方向の認識と筋緊張を制御し出力調整が可能となることを目標として、リーチや手指操作の認識を促す課題を実施した上で動作練習を行った。左手指操作は感覚障害のため閉眼では認識できなかったため、視覚下にて把持やピンチの際の過剰な筋出力を制御するよう求めた。また左手での物品把持と右手でのブロック積み上げを同時に行う両手動作も並行して実施した。介入10週後の左側の上肢FMAは51/66、WMFTの遂行時間は66.42秒、FASは47/75と改善した。手関節や手指の過剰出力が軽減して中間位での手指操作が可能になった。右手によるブロック積み上げは13個まで可能となり、右手の過剰な把持力が低減した。更衣動作は袖通しやボタン操作が両手で円滑に行えるようになり自立した。

【考察】
 視覚を基に麻痺肢の過剰出力を認識し制御する運動学習が行われ、両上肢での異なる運動の同時制御が可能となった結果、両手動作の向上や更衣動作自立に繋がったと考えた。

【倫理的配慮】
 発表に際し説明して同意を得た。