Riabilitazione Neurocognitiva 2021

Presentation information

一般演題

オンデマンド配信 » 口述発表

小児

[S6-01] SolidareとCavalloを活用し歩行の遊脚期が改善した1症例

*木村 絵梨1、木村 正剛1 (1. 北海道こども発達研究センター)

【はじめに】
 Perfetti(1987),Rizzelloらは「運動療法は下肢の動きを取り戻すのではなく、下肢をあらゆる課題に適合させるものである」と述べている.ヴィゴツキーセンターで使用されている大型不安定板(Solidare)と木馬(Cavallo)を用いることで,言語理解と表出に困難さがある児が自らの下肢に志向性を向け遊脚期の改善を認めた症例を報告する.

【症例紹介】
 頭部外傷により右頭頂葉から後頭葉領域の損傷歴がある5歳男児.GMFCSⅡ.右下肢先行の非対称な歩行パターンを呈する.言語による意思疎通は困難な場面が多く,発話での返答は困難で自閉傾向がみられる.また半側空間無視を認め,注意機能全般の低下がみられる.記憶は時間差で想起可能であり,学習の意味が解読されると,声掛けで注意機能が活性化され行為の修正が可能である.

【病態解釈】
 足の変形はなく、立脚中期では足部への荷重の不安があり、足関節による重心移動の制御不全が観察され、遊脚期は股関節の方向性や距離の空間認識の苦手さが観察された.体重移動時は半側空間無視もあり、両足間の一つの空間として統一されてない.左右の足の相補性が欠けている.足底で荷重と股関節の時間的・空間的な下肢の関係性を統合することで、遊脚期を改善できるのではないだろうか.また訓練課題のやり取りを共有し、下肢への志向性から体性感覚の構築を行う.

【治療介入と結果】
 Solidale上に配置したCavalloに対象児を跨らせ,他動的に側方傾斜を行う.こどもは立位を保持しながら非荷重側下肢の前方に設置した目標物に対して下肢を到達させる.課題により児は自らの下肢に志向性を向け,支持側の足関節および股関節を制御して歩行時に戦略的に対側下肢を振り出すことが可能となった.

【考察】
 本症例は認知課題の実施にあたりセラピストの意図を対象児が言語を介さずに解読できるよう配慮する必要があった.課題により右下肢先行の非対称な歩行パターンは軽減され、股関節・骨盤の運動制御が可能になった.他動的ではあるが歩行速度をコントロールすることで足関節の重心移動が改善された.

【倫理的配慮,説明と同意】
 発表に際し所属法人の承認を得て,プライバシーの保護について説明し同意を得た.