Riabilitazione Neurocognitiva 2022

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臨床実践報告

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[CPR] 臨床実践報告①

Sat. Oct 1, 2022 12:50 PM - 2:20 PM 第2会場 (ライブ配信)

座長:内倉 清等(潤和会記念病院)

1:20 PM - 1:50 PM

[CPR-02] 過剰な力量による把持動作が定着している生活期橋損傷患者- 言語教示から適切な力量調節の自律性へ向けた介入 -

*國友 晃1 (1. 愛宕病院)

過剰な運動出力は求心性入力を抑制する(jones, 1989).今回,生活期橋損傷患者に対して過剰な力量を認識する課題を実施した結果,把持における力量調節が改善した経過を報告する.症例は14ヶ月前に橋梗塞を発症し2週間の集中リハ目的にて入院となった60歳台男性である.左側のBRSは上下肢及び手指がⅤであり,感覚は上肢の深部・表在感覚は重度鈍麻で「左手は自分の想うように動かない」であった.把持力は3種類の重量設定が可能な30mm3の立方体装置を把持した際の把持力を計測した.左手は右手と比較して力量の増大を認め,内省は「右手と左手で力の入れ方に違いはない」であった.また評価的課題での特徴は「スポンジがつぶれる最小の力で掴んで」と要求すると硬度識別能力が改善する傾向があった.過剰な力量による運動制御は,把持動作における最適な力量の認識を阻害させ,運動主体感を低下させていると解釈した.治療目標を,言語教示を手掛かりに適切な力量の認識が可能となるとした.内容は左手と右手の力量の差異を比較するために同硬度のスポンジを左右の手で識別する課題を実施した.左手で硬度の識別が困難な際は評価的課題の言語教示にて力量のイメージをした後に,把持を実行して教示前後の差異の比較照合を行った.左手の過剰な力量を自覚ができるようになった時期より,退院後の生活行為で左手の使用についてその目的と方法を共有した.2週後の把持の内省は「掴んだ感じがわかるようになってきた」と変化した.把持力計では2週後は顕著な変化を認めなかったが1年後の再評価時は各重量における最大力量の低減を認め「自分の想うように動かせるようになってきた」となった.力量感覚の認識が困難であったため,言語教示による力量のイメージを契機として力量の差異を認識できた.そのことで運動主体感を惹起させ左手の力量調節が改善したと考える.なお本発表に対して説明し同意を得た.