Riabilitazione Neurocognitiva 2022

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臨床実践報告

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[CPR] 臨床実践報告②

Sat. Oct 1, 2022 2:30 PM - 4:00 PM 第2会場 (ライブ配信)

座長:安田 真章(東京大学医科学研究所附属病院)

2:30 PM - 3:00 PM

[CPR-04] 機能性神経障害の介入経験から得た認知神経リハビリテーションの可能性

*森 武志1 (1. 脳血管研究所 美原記念病院)

機能性神経障害(functional neurological disorder : FND)は,器質的障害で説明困難な神経症状として(Madva ら,2019),発作や麻痺,歩行障害を呈し,心的ストレスをきっかけに発症する(Voon ら,2016).近年,神経疾患のFND重畳例があることが報告(Tinazziら,2021)されており稀な病態ではない.
 本臨床実践報告では,我々のグループが経験した2例のFND症例介入事例を通して,FNDの病態基盤からみた神経障害に対する新たなリハビリテーションの視点を提案したい.
 1例目は慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の器質的神経障害にFNDが重畳した例で,2例目は心因性非てんかん発作(PNES)により右片麻痺を呈したFND例である.1例目は絵カードを用いた動作分析課題で分析対象をセラピストからパラアスリートへの変更が有効であった.2例目は過去の競技経験との類似性を問う課題においてexcessive slownessや代償歩行が軽減した.
 2例の介入における共通点として,認知課題において比較対象の変更や,運動学的類似性の比較がきっかけとなり課題を成立させ行為が改善した点が挙げられる.FNDは機能障害に対する直接的な介入で症状を増悪することや(Nielsenら,2015),思考や判断の偏り,内受容感覚の精度の低下が示唆されている(Hallett ら,2022).特に2例目では内受容感覚の認知的指標である内受容感覚の気づきの多次元的アセスメント(MAIA)の低下と介入による改善を示していた.これは症状変化と内受容感覚が関連している可能性を示すもので,情動面を含めた過去の経験を考慮した介入に示唆を与えるものと考えられる.
 以上より本臨床実践報告では行為間比較の成立に必要な前提条件と課題特性,FNDと病態基盤を共有している神経障害に対し疾患横断的に観察可能な視点と介入可能性について議論していく機会にしたい.