[S1-01] 顔面神経麻痺に味覚障害を伴う症例と無い症例の回復過程の比較
―2症例における主観的評価の比較―
【はじめに】顔面神経麻痺は、一般的に機能評価が主であり患者の主観的評価と乖離すると言われ、また、味覚障害の程度は機能的予後に関係しないと報告(木崎ら,2004)されている。今回、味覚障害は主観的評価の回復過程に影響を与えないのか、味覚障害の訴えのある症例とない症例について主観的および客観的評価を行い示唆を得たので報告する。
【方法】症例1は40歳代男性。左顔面神経麻痺、味覚障害を主訴に発症翌日に受診し、Bell麻痺と診断された。味覚障害の訴えは、「何を食べても苦いような味がする」との事であった。発症9日後から介入した。症例2は70歳代男性。左顔面神経麻痺を主訴に発症翌日に受診し、Bell麻痺と診断された。味覚障害はなく、発症13日後から介入した。評価は、顔面運動麻痺の客観的評価として柳原法と主観的評価としてQOLの評価を自己記入式アンケート評価法であるFacial Clinimetric Evaluation Scale(以下FaCE Scale)日本語版を使用した。初回評価時、症例1、2の柳原法はそれぞれ6、2点であり、FaCE Scaleは27、48点であった。症例自身による顔面マッサージを頻回に行ってもらう事、認知神経リハビリテーションに基づいた他者による触刺激により想起される情動からの表情筋への介入(沼田ら,2017)を実施した。週1回約20分の理学療法士の介入および自宅での家族による介入を1日1〜2回、1回20分程度実施して頂いた。評価は毎回の理学療法前に実施した。
【結果】症例1は介入開始から8回目(55日)、症例2は9回目(65日)の評価により柳原法で38点となった。FaCE Scaleは症例1が7回目(48日)、症例2が12回目(103日)で75点の満点となった。症例1の味覚障害は、4回目(18日)に改善を認める発言があった。
【考察】】味覚障害あり症例の主観的評価は、なし症例より初期に低値であるにも関わらず、回復過程では早期に満点となった。味覚障害あり症例は、初期にQOL低下をより強く感じている事が示唆される。回復過程に差はない事を説明するなど、より適切なコミュニケーションが求められると考える。
【倫理的配慮(説明と同意)】発表については書面にて説明し、同意を得た。
【方法】症例1は40歳代男性。左顔面神経麻痺、味覚障害を主訴に発症翌日に受診し、Bell麻痺と診断された。味覚障害の訴えは、「何を食べても苦いような味がする」との事であった。発症9日後から介入した。症例2は70歳代男性。左顔面神経麻痺を主訴に発症翌日に受診し、Bell麻痺と診断された。味覚障害はなく、発症13日後から介入した。評価は、顔面運動麻痺の客観的評価として柳原法と主観的評価としてQOLの評価を自己記入式アンケート評価法であるFacial Clinimetric Evaluation Scale(以下FaCE Scale)日本語版を使用した。初回評価時、症例1、2の柳原法はそれぞれ6、2点であり、FaCE Scaleは27、48点であった。症例自身による顔面マッサージを頻回に行ってもらう事、認知神経リハビリテーションに基づいた他者による触刺激により想起される情動からの表情筋への介入(沼田ら,2017)を実施した。週1回約20分の理学療法士の介入および自宅での家族による介入を1日1〜2回、1回20分程度実施して頂いた。評価は毎回の理学療法前に実施した。
【結果】症例1は介入開始から8回目(55日)、症例2は9回目(65日)の評価により柳原法で38点となった。FaCE Scaleは症例1が7回目(48日)、症例2が12回目(103日)で75点の満点となった。症例1の味覚障害は、4回目(18日)に改善を認める発言があった。
【考察】】味覚障害あり症例の主観的評価は、なし症例より初期に低値であるにも関わらず、回復過程では早期に満点となった。味覚障害あり症例は、初期にQOL低下をより強く感じている事が示唆される。回復過程に差はない事を説明するなど、より適切なコミュニケーションが求められると考える。
【倫理的配慮(説明と同意)】発表については書面にて説明し、同意を得た。