Riabilitazione Neurocognitiva 2022

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一般演題

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[S3] 神経系(下肢/体幹)

[S3-03] 両片麻痺患者における右に傾く歩行に対する介入
ー臀部下・足底下の接触面に着目してー

*宮坂 結惟1、安田 真章2、後藤 圭介3 (1. 千葉徳洲会病院、2. 東京大学医科学研究所附属病院、3. 東京女子医科大学附属足立医療センター)

【はじめに】
両片麻痺患者に対し臀部下・足底下の接触面の情報を再構築することで,荷重と身体の関係性が整理され座位や立位の重心移動や歩容が改善したため報告する.

【症例紹介】
症例は70代男性.既往に左片麻痺があり,今回左放線冠脳梗塞を発症し当院回復期病棟へ入棟.発症時BRS右Ⅴ-Ⅴ-Ⅴ,左Ⅵ-Ⅵ-Ⅴ,左表在・右深部感覚軽度鈍麻,注意障害を認めた.入棟時の体幹機能はFACT8点で立ち直り反応は消失,バランス機能はMini-BESTest 9点,歩行機能は平行棒内レベルで体幹が右へ傾いていた.運動の異常要素は,四肢への放散反応や運動単位の動員異常が顕著に出現していたが自覚は乏しかった.

【病態解釈】
本症例は両片麻痺になったことで,これまで使用していた脳内のネットワークが使えなくなったことが推測される.病前の運動制御戦略は,左片麻痺の影響で全身の過剰固定,右半身に依存した動作,そして視覚依存が顕著であった.今回,右片麻痺の発症と選択的注意障害によって行為の全体性を捉えることが困難となった結果,歩行は右へ傾くも自覚出来ずにいた.そこで,左右の身体を統合する必要のある臀部下および足底下における支持基底面と荷重の関係性の情報構築が重要と考えた.

【介入および結果】
介入は,1)臀部下にストライプを用いた支持面と荷重情報の課題,2)足底にスポンジを用いた圧課題,3)両足底にストライプを用いた支持面と荷重情報の課題を実施.1)では支持基底面内を狭い範囲でのみ重心移動を行い情報を得ようとしており右臀部~大腿部にかけ一部接触情報のエラーを認めた.訓練を再考し,骨盤の空間情報を先に構築するよう課題を変更後,臀部下の接触情報も情報構築可能となり重心移動が円滑になった.また2)では,足底全体の圧情報を構築することで足関節の可動域が向上しより足関節の空間情報が洗練された.3)では両足底の荷重情報から身体の全体性や方向という前庭覚や視覚へと多感覚統合を求めて行った.結果,FACT20点,Mini-BESTest20点と改善し歩行中に右へ傾く現象は軽減した.

【考察】
今回のアプローチは,本症例の脳内の情報処理を変化させ臀部後方の空間や足底の拡がりを気づかせる経験となった.その結果,支持基底面内の重心移動が円滑となり行為が改善したと考える.
 
【倫理的配慮】
発表に対し書面で説明し同意を得た.