第22回認知神経リハビリテーション学会学術集会

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[SY] 指定シンポジウム①(患者と言語と臨床展開)

2022年10月1日(土) 12:50 〜 14:20 第1会場 (ライブ配信)

座長:河野 正志(五条山病院)

12:50 〜 13:35

[SY-01] 対話に潜む“情報”を手掛かりに- 脳卒中患者との対話 -

*唐沢 彰太1 (1. 株式会社ワイズ 脳梗塞リハビリセンター)

臨床において,療法士と患者の対話には何が潜んでいるのでしょう?療法士からの質問,患者からの回答,その時のレスポンスや内容,使用している言葉すべてが臨床に役立つ(かもしれない)情報です.「話す・聞く」で構成される対話ですが,患者の振る舞いや表情などにも集中しなければなりません.つまり,様々な所に情報は潜んでいて,療法士はその情報をいかにつかみ取るかに,注力しなければなりません.
 臨床での対話では,大きく分けて3つの目的があります.1つは,日常会話のようなコミュニケーションとしての対話です.挨拶や臨床の導入,また休憩中などに行います.もう1つが,患者の情報収集を目的とした対話です.患者の人としての理解や病態の理解を深化していくために重要な手続きです.これら2つの共通点は,【患者のことを知りたい】姿勢が大切な点です.自分に興味を持ってくれていると患者が感じなければ,本当に重要なことは話してくれません.反対に,2つの違う点は,【明確な意図と予測を持った質問】にあります.何を知りたいから質問をするのか,またどんな回答が来ると予測しているのかが明確に無いと,重要なことを聞き逃してしまうかもしれません.
 最後の3つ目の目的は,リハビリテーションを円滑かつ効率的に進めるための会話です.リハビリの目的は何か?どこに向かうためにはどうすれば良いのか?行う訓練の目的は何か?これらを患者と話していくことで,患者と療法士のリハビリへの志向性のズレを極力少なくできます.
 これらの対話を通して,患者の世界を少しずつ知っていき,臨床へと還元していきます.少しずつ信頼関係ができてくると,「こんなことも話して良いんだ」と患者が感じてくれたり,「こういうことを知りたがっているのかな」と考えてくれたりと,更に対話は進んでいきます.今回のシンポジウムでは,特に脳卒中患者との対話を中心に,私の経験を踏まえ話していきます.