14:30 〜 15:15
[SY-03] 脳卒中患者の世界への接近- 半側空間無視症例を通じて -
対象者が自身の世界をどのように認識し経験しているか知ることは,リハビリテーションを対象者と共に進めていく上で重要である.対象者の経験を紐解き,対象者の世界に近づこうとする際,彼らから発せられる言葉を聞くこともちろん大切だが,対象者から発せられる言葉,あるいは発していない側面が何を表しているのか結び付け,解釈・理解するためには,背景知識に加え臨床的観察が求められる.
半側空間無視は空間性注意機能の障害であり,損傷半球の対側の刺激を発見し応答することが難しくなる症状として定義される.視空間だけでなく身体空間に対する影響がある場合があり,また病識が乏しいという特徴もみられることから,リハビリテーションの進みが遅く日常生活能力全般の回復に影響を及ぼすことが知られている.無視の病態基盤に関して,従来は視空間情報の空間認識や統合に関わる頭頂葉領域に好発する頭頂症候群として理解されてきたが,近年では側頭頭頂接合部や腹側前頭皮質を中心とした注意ネットワークの障害として捉えられている.表出される症状の背景には,左右空間の偏りといった空間性注意機能に加えて,左右空間関わらない持続性注意機能や視空間性ワーキングメモリといった機能など異なる要素が重なり合っていることから,介入に難渋するケースが多い.
今回のシンポジウムでは,半側空間無視を呈した症例における対象者自身が認識している症状や生活上の困難さに関して,オンライン・オフラインの病識に分けて確認する方法や,様々な環境や状況における観察から得られる情報を把握する視点を共有し,対象者の世界を皆でイメージしていきたい.
半側空間無視は空間性注意機能の障害であり,損傷半球の対側の刺激を発見し応答することが難しくなる症状として定義される.視空間だけでなく身体空間に対する影響がある場合があり,また病識が乏しいという特徴もみられることから,リハビリテーションの進みが遅く日常生活能力全般の回復に影響を及ぼすことが知られている.無視の病態基盤に関して,従来は視空間情報の空間認識や統合に関わる頭頂葉領域に好発する頭頂症候群として理解されてきたが,近年では側頭頭頂接合部や腹側前頭皮質を中心とした注意ネットワークの障害として捉えられている.表出される症状の背景には,左右空間の偏りといった空間性注意機能に加えて,左右空間関わらない持続性注意機能や視空間性ワーキングメモリといった機能など異なる要素が重なり合っていることから,介入に難渋するケースが多い.
今回のシンポジウムでは,半側空間無視を呈した症例における対象者自身が認識している症状や生活上の困難さに関して,オンライン・オフラインの病識に分けて確認する方法や,様々な環境や状況における観察から得られる情報を把握する視点を共有し,対象者の世界を皆でイメージしていきたい.