2:40 PM - 3:30 PM
[CS-06] 認知過程のメンタルオペレーション
メンタルオペレーションとは,スイスの心理学者であるジャン・ピアジェによって提唱された「思考において遂行されうる内化された行為」のことを意味する.何かしらの疾病によって学習パターンに変質をきたした認知過程の場合,他者または自己による内化された行為の修正が必要と思われ,私たちはこのような方々に日々,臨床で関わっている.
本セミナーで取り扱うメンタルオペレーションとは,患者自身が主体的に行為を変化させるための他者(主にセラピスト)の行為と,自己(患者自身)がメタラーニングする行為の2つを示す.
例えば,自宅内で何かにつまずき,転倒を繰り返す患者がいたとする.この患者は足関節の固有感覚情報の認識に変質をきたし,視覚情報を用いて下を見ながら歩いていた.なぜ下を見ているのか質問をすると「足がどうなっているのかがわからないから」と記述した.足部の体性感覚情報の認識の改善を図る課題を提示し,情報構築の仕方(認知過程)に変化が生まれた結果,歩行中の足部の認識は改善され,転倒は消失した.しかし,なぜ転倒しなくなったのかを質問しても「わからない,足を上げる力がついたのかな」と答えた.このように行為の改善が見られても,理由がわからないことやセラピストの考えと異なる回答をする症例は少なくない.このような場合は,患者自身が主体的に行為と向き合うための支援が不十分であった可能性がある.セラピストは股関節屈曲の筋力を測定し,患者に変化していないことを伝えた.そして以前できなかった感覚の識別を求め,足部の体性感覚情報の認識が改善されていることを確認した.すると患者は以前できなかったことができていることに気づき,「これがわかるようになったから,こけなくなったのかもしれない」と話した.
患者とセラピストのメンタルオペレーションがどう行為に作用しているのか,確認しながら関わる必要があると気付かされる一例である.
本セミナーでは実際の症例を通して,患者をメタラーニングへ導くための「認知過程のメンタルオペレーション」とは何か,考える時間としたい.
本セミナーで取り扱うメンタルオペレーションとは,患者自身が主体的に行為を変化させるための他者(主にセラピスト)の行為と,自己(患者自身)がメタラーニングする行為の2つを示す.
例えば,自宅内で何かにつまずき,転倒を繰り返す患者がいたとする.この患者は足関節の固有感覚情報の認識に変質をきたし,視覚情報を用いて下を見ながら歩いていた.なぜ下を見ているのか質問をすると「足がどうなっているのかがわからないから」と記述した.足部の体性感覚情報の認識の改善を図る課題を提示し,情報構築の仕方(認知過程)に変化が生まれた結果,歩行中の足部の認識は改善され,転倒は消失した.しかし,なぜ転倒しなくなったのかを質問しても「わからない,足を上げる力がついたのかな」と答えた.このように行為の改善が見られても,理由がわからないことやセラピストの考えと異なる回答をする症例は少なくない.このような場合は,患者自身が主体的に行為と向き合うための支援が不十分であった可能性がある.セラピストは股関節屈曲の筋力を測定し,患者に変化していないことを伝えた.そして以前できなかった感覚の識別を求め,足部の体性感覚情報の認識が改善されていることを確認した.すると患者は以前できなかったことができていることに気づき,「これがわかるようになったから,こけなくなったのかもしれない」と話した.
患者とセラピストのメンタルオペレーションがどう行為に作用しているのか,確認しながら関わる必要があると気付かされる一例である.
本セミナーでは実際の症例を通して,患者をメタラーニングへ導くための「認知過程のメンタルオペレーション」とは何か,考える時間としたい.