[AL1-1] 皮質脳波判読の基本(てんかん性放電を中心に)
頭蓋内電極を用いた皮質脳波記録は、主に難治部分てんかん患者のてんかん焦点切除術に際して行われる。非侵襲的検査結果が一致し、単一のてんかん焦点を示唆する場合は、一期的な手術が施行されることも少なくない。この場合、術中皮質脳波を記録し(急性記録)、発作間欠期のてんかん性放電の有無を評価して最終的な切除範囲を決定することが多い。一方で、非侵襲的検査でてんかん焦点の特定ができない場合、加えててんかん焦点が運動・言語などの重要な機能野近傍に予想される場合は、頭蓋内電極を用いて侵襲的術前評価を行い、二期的手術を考慮する。頭蓋内電極を1-2週間留置し(慢性記録)、皮質脳波で発作間欠期・発作時てんかん性放電の評価によるてんかん焦点の同定と、焦点周囲の機能野の同定を行い、最終的に重要な機能野を温存した上でてんかん焦点の切除が検討される。
皮質脳波で記録される発作間欠期てんかん性放電としては、頭皮上脳波と同様に棘波・鋭波、突発性速波活動(paroxysmal fast)が挙げられる。これらはてんかん焦点のみならず皮質間を伝播した先でも記録されることもあり、解釈に注意を要する。近年デジタル脳波・増幅器の進歩により従来の周波数帯域(いわゆるBerger rhythm)だけでなく、より広帯域の脳活動の記録が容易に可能となった。具体的には低周波数のslow shift(<1 Hz)/ infraslow shift / DC shiftや高周波数のhigh frequency oscillation(HFO, >80 Hz)が記録でき、このうち発作間欠期HFOはてんかん原性領域のバイオマーカー候補として近年注目されている(Jacobs et al. 2010)。ただし一次感覚野などでは生理的HFOも記録されることに留意する必要がある。
発作時皮質脳波記録は、てんかん焦点同定に最も重要である。必要に応じて抗てんかん薬を減量し、てんかん発作と発作時皮質脳波を記録する。皮質脳波での発作時脳波変化は、てんかん焦点では発作症候に先行して出現するべきであり、もし発作症候出現が先行する場合には、てんかん焦点の皮質脳波記録ができていない可能性が高い。発作時脳波変化のパターンは多様で、症例の病態や発作焦点部位により異なるが、発作起始時には比較的高振幅の反復性棘波(repetitive spike)や低振幅速波(low voltage fast activity)がみられることが多い。これら従来からの発作時脳波変化に加えて、発作時DC shiftや発作時HFOも記録されることがわかっており、てんかん焦点同定に有用とされる(Ikeda et al. 1996; Imamura et al. 2011; Kanazawa et al. 2015)。
本発表では、皮質脳波での発作間欠期・発作時のてんかん性放電について、実際の症例を用いて概説する。また、本邦では硬膜下電極(subdural grid electrode: SDG)を用いた皮質脳波記録が主流であるが、近年中に導入される見込みの定位的頭蓋内電極(stereo-electroencephalography: SEEG)でのてんかん性放電も紹介する。
皮質脳波で記録される発作間欠期てんかん性放電としては、頭皮上脳波と同様に棘波・鋭波、突発性速波活動(paroxysmal fast)が挙げられる。これらはてんかん焦点のみならず皮質間を伝播した先でも記録されることもあり、解釈に注意を要する。近年デジタル脳波・増幅器の進歩により従来の周波数帯域(いわゆるBerger rhythm)だけでなく、より広帯域の脳活動の記録が容易に可能となった。具体的には低周波数のslow shift(<1 Hz)/ infraslow shift / DC shiftや高周波数のhigh frequency oscillation(HFO, >80 Hz)が記録でき、このうち発作間欠期HFOはてんかん原性領域のバイオマーカー候補として近年注目されている(Jacobs et al. 2010)。ただし一次感覚野などでは生理的HFOも記録されることに留意する必要がある。
発作時皮質脳波記録は、てんかん焦点同定に最も重要である。必要に応じて抗てんかん薬を減量し、てんかん発作と発作時皮質脳波を記録する。皮質脳波での発作時脳波変化は、てんかん焦点では発作症候に先行して出現するべきであり、もし発作症候出現が先行する場合には、てんかん焦点の皮質脳波記録ができていない可能性が高い。発作時脳波変化のパターンは多様で、症例の病態や発作焦点部位により異なるが、発作起始時には比較的高振幅の反復性棘波(repetitive spike)や低振幅速波(low voltage fast activity)がみられることが多い。これら従来からの発作時脳波変化に加えて、発作時DC shiftや発作時HFOも記録されることがわかっており、てんかん焦点同定に有用とされる(Ikeda et al. 1996; Imamura et al. 2011; Kanazawa et al. 2015)。
本発表では、皮質脳波での発作間欠期・発作時のてんかん性放電について、実際の症例を用いて概説する。また、本邦では硬膜下電極(subdural grid electrode: SDG)を用いた皮質脳波記録が主流であるが、近年中に導入される見込みの定位的頭蓋内電極(stereo-electroencephalography: SEEG)でのてんかん性放電も紹介する。