日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

アドバンスレクチャー

アドバンスレクチャー12

2020年11月27日(金) 15:45 〜 16:15 第3会場 (2F B-2)

座長:神吉 理枝(西宮協立脳神経外科病院 脳神経内科)

[AL12-1] 正常脳波の判読 成人編 -いっしょに脳波を読もう-

橋本修治 (天理よろづ相談所病院白川分院 内科)

【本講演の対象者】脳波を書籍である程度勉強したが、脳波判読の実地指導を受ける機会があまりなかった人を対象としています。【方法】実際のデジタル脳波を提示し、脳波判読を行っている状況を模擬的に再現しながら、出現する所見について概説します。時間的な関係で、はじめの覚醒時の脳波所見を中心に解説していきます。途中から睡眠脳波になっていきますが、この部分は、典型的な睡眠波形を提示し簡単に解説するにとどめたいと思います。モンタージュは同側耳朶基準の単極導出法を主として用いますが、波形によっては双極導出にリモンタージュし波形の特徴を確かめます。【内容】用いる脳波は、37歳女性のてんかん患者さんの脳波ですが、発作が20年以上なく、脳波としては正常と判定したものです。この脳波を用いて、以下の波形を示しながら若干の解説を加えていきます。(1)後頭部優位律動としてのアルファ波を確認します。この症例では、アルファ律動がかなり広汎に出現しています。一部では前頭部優位に出現しているように見えるところもあります。これらは耳朶が後頭部優位律動によって活性化され、前頭部に反映したものと考えられることを解説します。(2)ベータ波と筋電図の識別方法を解説します。時間解像度を上げて観察すると、ベータ波は正弦波様の規則正しい波形ですが、筋電図は不規則な波形となっていることが分かります。(3)アルファ波が消退するところを示し、それが睡眠によるのか開眼によるのか、どう判別すれば良いか解説します。その区別は眼球の動きによるアーチファクトを見ることによって可能となります。(4)睡眠に入ると頭蓋頂鋭一過性波(vertex sharp transients of sleep, or vertex sharp wave)が出現してきます。さらにPOSTS(positive sharp transients of sleep)といった一過性波が出現してきます。これらは正常波形であり、誤って異常な鋭波と間違わない注意が必要です。(5)睡眠ステージ2(N2)でK-complexや紡錘波(spindle)が出現してくるのを示しK-complexの特徴を概説します。