日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

アドバンスレクチャー

アドバンスレクチャー13

2020年11月27日(金) 15:45 〜 16:15 第4会場 (1F C-1)

座長:代田 悠一郎(東京大学 医学部附属病院 検査部)

[AL13-1] 経頭蓋磁気刺激の基本

花島律子 (鳥取大学 医学部 医学科 脳神経医科学講座 脳神経内科分野)

経頭蓋磁気刺激法(transcranial magnetic stimulation: TMS)は、1985年にBarkerらが報告したヒトの大脳を非侵襲的に刺激することを可能にした方法である。運動野を刺激することで四肢の筋肉に運動誘発電位(Motor evoked potential: MEP)を導出し、それまでは評価できなかった皮質脊髄路の伝導時間を客観的に評価できるようになった。運動野刺激と脊髄刺激のMEPの潜時差から中枢運動伝導時間を測定することが最も基本となるTMSの使用法である。運動神経電動検査と同様の使用の仕方となるが、中枢刺激には末梢刺激と異なる注意が必要であるためそのことを理解した上で利用する必要がある。本レクチャーではその基本的事項を復習したい。また、TMSによるMEPの振幅を運動野の興奮性の指標として用いて、条件刺激を与えた場合の運動野の興奮性変化を把握する方法がいくつか開発されている。条件刺激を変化させることで色々な種類の運動野興奮調節を推定することができ、運動野興奮性変化のパラメーターとして使用されることも多い。研究の場で頻用されるいくつかのパラメーターを紹介する。また、反復経頭蓋磁気刺激法(repetitive transcranial magnetic stimulation: rTMS)は、ヒトの中枢神経に非侵襲的にシナプス可塑性を誘導する方法として、可塑性機能の評価やリハビリ・治療への応用として用いられるようになっている。よく使用されるrTMS法について簡単に述べる。