日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

アドバンスレクチャー

アドバンスレクチャー14

2020年11月27日(金) 17:00 〜 17:30 第3会場 (2F B-2)

座長:三枝 隆博(大津赤十字病院脳神経内科)

[AL14-1] 認知症の脳波

赤松直樹 (国際医療福祉大学 医学部 脳神経内科/国際医療福祉大学成田病院 てんかんセンター)

脳波は脳機能を直接的に反映する検査であるので、認知症による脳機能変化を捉えることができる。認知症の臨床と研究において、脳波は重要な検査である。Creutzfeldt-Jakob病のperiodic sharp wave complexのように疾患特異的所見といえる所見で認知症が診断できることもある。研究面では、定量的脳波検査による認知症診断の進歩が著しい。脳波の認知症診断における有用性が知られているのにもかかわらず、本邦の日常臨床において脳波が認知症診療には必ずしも検査されていないと思われる。認知症で最も頻度の高いアルツハイマー病の脳波変化は、特に初期においては背景活動(α波)の徐波化といった個別の症例では判断が必ずしも容易でない所見でり、脳波による診断が難しいといったことが一つの要因かもしれない。脳波による初期の認知症の診断は困難であるが、他の疾患との鑑別で有用な場合がある。脳画像で異常が認められにくい代謝性疾患や高齢初発側頭葉てんかんは、認知症と誤認される可能性があり脳波検査は重要である。