日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

アドバンスレクチャー

アドバンスレクチャー15

2020年11月28日(土) 08:30 〜 09:00 第4会場 (1F C-1)

座長:有村 公良(大勝病院 脳神経内科)

[AL15-1] 人工知能の臨床神経生理学への応用:針筋電図放電の判別

野寺裕之 (金沢医科大学 医学部 神経内科学)

人工知能(AI)が社会を急激に変えている.この現象が発生したのは,ディープラーニングと呼ばれる構造を用いることで画像の判別精度が急激に改善した2012年であり,それ以来この技術の応用は急激な進歩を遂げている.医学分野にもこの流れは当然のように生じ,消化管内視鏡,眼底カメラ,病理検査などの画像領域で先行しているが,針筋電図をはじめとする波形領域ではその影響は比較的緩徐であった.その理由として波形は画像と異なり常に流動するため,情報処理が容易でないことなどがあげられる.針筋電図放電はスクリーンで観察するよりも,音を聞いたほうが判別しやすいことはよく知られている.異なった周波数帯域を判別するのには視覚よりも聴覚が優れていることが理由の一つであろう.音を定量解析するときには,音そのものではなく,平均周波数・周波数域などからなる音特徴量を抽出することが多い.そのため,演者は針筋電図の安静時放電を用いて音特徴量を用いた判別を行った.さらにディープラーニングを用いて6種類の安静時放電を学習した結果,判別精度100%を示した.針筋電図放電の判別にAI手法が有用であることから,筋電計に判別プログラムを搭載する共同研究を行っている.