50th Memorial Annual Meeting of Japanese Society of Clinical Neurophysiology (JSCN)

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アドバンスレクチャー

アドバンスレクチャー15

Sat. Nov 28, 2020 9:00 AM - 9:30 AM 第4会場 (1F C-1)

座長:野寺 裕之(金沢医科大学 医学部 神経内科学)

[AL15-2] 保険収載にみあったSFEMG検査ガイド

有村公良1, 有村由美子1, 中村友紀2, 吉村道由2 (1.大勝病院 脳神経内科, 2.鹿児島大学病院脳神経内科)

単線維筋電図(SFEMG)は神経筋伝達機能検査として、鋭敏であり重症筋無力症などの神経筋接合部疾患に有用な検査法である。本講演では実際の検査方法および注意点を述べると共に、保険診療を行う際についても述べたい。2020年の診療報酬改定で、SFEMGが1500点で認められた。ただ施設基準に適合しているものとして、地方厚生局等に届け出る必要がある。その要件は1. 脳神経内科、リハビリテーション科、小児科で専ら神経系疾患の診療を担当した経験を10年以上有すること、2. 筋電図・神経伝導検査を100例以上実施した常勤の医師であること、3. 当該保険医療機関において1年間に実施した筋電図・神経伝導検査の件数を記載すること、4. 日本臨床神経生理学会による教育施設または準教育施設に係る証明書の添付でも良い、などである。この中でポイントは実際に電気生理検査に頻繁に従事していることと、常勤であることがまず重要となる。さらに申請書類にはないがSFEMG検査にある程度精通していることが求められている。これらの諸条件をクリアするには、日本臨床神経生理学会に所定の年数所属し研修を受けていること、とくに神経・筋診断セミナーのハンズオンで実地研修を受けることで可能である。SFEMGは通常の筋電図よりもやや特殊な技術が必要であり、実施する際のpitfallも多いのでハンズオンで技術を習得した方が良い。また近くの認定施設での研修も有用である。実際に検査を行った場合、1. 適応疾患の診断名、2. その医学的必要性の症状詳記を求められる。例えば眼瞼下垂が主訴で眼筋型重症筋無力症が疑われる場合、通常の誘発筋電図では正常の事が多く、また抗ACh抗体は結果が判明するには時間がかかるか、陰性の事が多い。このような場合にはそれらのことを注記に記載すれば良い。また全身型の場合でも早期に診断し、加療を始めたい場合には、症状から重症筋無力症が強く疑われ、抗体結果を待たずに早期に治療を開始する必要性などを注記すれば良いと考えられる。最後にSFEMGの保険収載は本学会の委員の先生方の努力によるものであるが、上記のことに留意しながら、適切な検査の施行が望まれる。