50th Memorial Annual Meeting of Japanese Society of Clinical Neurophysiology (JSCN)

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アドバンスレクチャー

アドバンスレクチャー17

Sat. Nov 28, 2020 11:00 AM - 11:30 AM 第4会場 (1F C-1)

座長:大島 秀規(日本大学医学部 脳神経外科学系神経外科学分野)

[AL17-1] 脊髄由来の神経障害性疼痛の病態を考える

牛田享宏 (愛知医科大学 医学部 学際的痛みセンター)

脊椎脊髄疾患による痛みに悩まされる人は多く、これらは筋・骨・関節障害に伴う痛みのみならず脊髄などに起因する神経障害性疼痛も診られる。これらの病態は少なからず同時並行的に生じるが、治療薬の選択等においては神経科学的なメカニズムベースに考えることも必要である。近年の神経障害性疼痛治療薬などの開発が著しいがこれらの薬理メカニズムについては1990年以降に進められた神経障害性疼痛モデルの開発の成功が大きなキーとなった。神経結紮モデル動物による解析では末梢神経や脊髄神経の感作が観察されるが、この変化は結紮された脊髄神経の隣接する部位の脊髄後角に生じる事がわかっており、グルタミン酸受容体の活性化が大きな役割を果たすことが知られている。また、この感作の発生は急性坐骨神経圧迫モデル動物では引き起こされず、炎症性発痛物質を脊髄神経周囲に投与することで短時間に生じさせることができることも分かっており、神経周囲の炎症が感作を誘導することが示唆されている。更に様々な脊髄病態をモデル化した研究はいずれも脳に大きな影響を生じさせることも分かっており、これまで開発されてきた様々な疼痛治療薬も脊髄のみならず脳にも効果を及ぼすことが分かっている。最近の研究では神経障害性疼痛をQuantitative Sensory Testingを用いてその特徴からいくつかのグループに分類する試みも進められてきているので紹介したい。