[AL2-2] 睡眠時周期性四肢運動とウィリス・エクボム病(レストレスレッグズ症候群)
睡眠時周期性四肢運動はPeriodic Limb Movements of Sleep(PLMS)の日本語訳である.生理的に出る現象とされるが,この頻度が15回/時以上になり,眠気などを生じてなんらかの生活上の障害をきたすと周期性四肢運動異常症 Periodic Limb Movement Disorder(PLMD)という疾患名となる.つまりPLMSは運動現象であり,Polysomnography(PSG)における解析イベントの一つである.PSGで算出すべきパラメータとしてPLMSの数,arousalを伴うPLMSの数,PLMS Index(1時間当たりのPLMS数),PLMS arousal Index(1時間当たりの覚醒反応を伴うPLMS数)がある.PLMSの解析ルールは,まずLeg movement(LM)の定義があり,その次に周期性の定義がある.さらにarousalとの関連ルール,呼吸イベント出現時のルールが細かく決められており複雑である. 特に呼吸イベントが多くある閉塞性睡眠時無呼吸の患者では、実際のイベントとしてLMがあっても呼吸イベントがあるためにカウントできないことになり、治療としてCPAP導入後にあたかもPLMSが増えたようにレポート上はなる.さらにPLMSが患者にとって病的か否かも解析ルールを知ったうえでなければ判断を誤ることになる.またウィリス・エクボム病(レストレスレッグズ症候群)はむずむず脚症候群と称さることが多いが、症状が足のみに限局するわけではないこと,『むずむず』という表現が必ずしも病状を言い当てていないことから,最近ではウィリス・エクボム病(Willis-Ekbom disease:WED)と呼ぶことが提唱されている.またPLMSがWEDでよくみられることが知られ、PLMSが出ればWED,なければWEDは否定的とされることがある.これはあやまりであり、しかしPLMSはナルコレプシーやレム睡眠行動異常症の患者での出現率も高く PLMSを伴わないWEDも存在する.またWEDとPLMDという疾患名は両立せず、PLMSを伴うWEDとなることにも注意したい.当日はPLMSの解析ルールの説明と実際の症例によりこのあたりの理解を得られるように提示したい.