50th Memorial Annual Meeting of Japanese Society of Clinical Neurophysiology (JSCN)

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アドバンスレクチャー

アドバンスレクチャー3

Thu. Nov 26, 2020 11:10 AM - 11:40 AM 第4会場 (1F C-1)

座長:杉田 尚子(京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座(精神医学教室))

[AL3-2] 午睡CPAPタイトレーション

立花直子1,2, 丸本圭一3, 奥谷一真3, 紀戸恵介2,3 (1.関西電力病院 睡眠関連疾患センター, 2.関西電力医学研究所 睡眠医学研究部, 3.関西電力病院 臨床検査部)

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome, OSAS)の第一選択の治療法である持続陽圧呼吸療法(CPAP)は、上気道を安定して開存させることができる適正圧で適用することが重要であり、国際基準では、その適正圧を決めるための作業である終夜PAPタイトレーション(full night PAP titration, fnPT)の実施方法が細かく定められている。しかし、日本にはこの技法がきちんと導入されておらず、実施できている施設は少数である。その一つの理由として、この技法は常時監視終夜睡眠ポリグラフ検査(attended polysomnography, aPSG)を行うことができ、PAP療法の原理を理解し、aPSG中に患者の呼吸状態や脳波を判読しながらリアルタイムでPAP圧を変更していくことができる検査技師(国際的には睡眠技士)が担うことになるが、そういった技術を学ぶ機会がなく、教えることができる医師も検査技師も非常に少ないことが挙げられる。
一方、当院では、2013年4月まで検査室(病室)環境の問題でfnPTが実施できない状態にあり、苦肉の策として昼寝を利用した午睡CPAPタイトレーション(afternoon CPAP titration, aPT)を医師と検査技師とで行っていた。すでにOSASと診断確定した患者に前夜の睡眠時間を制限してもらい、午前中どんなに眠くても我慢して昼過ぎに昼寝するという目標を与え、昼食後来院していただく。CPAP治療の必要性や使用の目的、予測される効果を説明し、機器使用のデモンストレーションとマスクフィッティングを行ったのち、CPAPを使用しながらPSGを実施、昼寝をしてもらってCPAPの適正圧を決めていくというやり方である。この方法は2013年5月に新病院が開院し、fnPTができるようになった現在も廃止することができず、存続している。その理由として、1)患者にとって1泊入院の必要がなく、時間的、経済的に受け入れやすい、2)検査技師にとって、時間的負担が少なく、困ったときに助けを呼べる、3)CPAP圧を変化させていくことで呼吸が正常化し、安定した深睡眠やレム睡眠が出現するさまをリアルタイムで経験する点で教育効果が大きいことが挙げられる。後方視的に検討した結果ではあるが、1年以上CPAPが使用できた症例では、fnPTから開始した群とaPTから開始した群の間で、残存無呼吸・低呼吸指数、使用頻度と使用時間の両面から見たCPAPアドヒアランスに有意差は認めらなかったことから、aPTは正しく症例を選択し、医師と検査技師とがチームを組んで臨機応変に対応できる技能があれば、fnPTの代替手法として利用できる可能性は高いものと思われる。当日は、実際のPSGのraw dataも供覧し、aPTの実施方法を具体的に提示したい。