日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

アドバンスレクチャー

アドバンスレクチャー5

2020年11月26日(木) 14:10 〜 14:40 第4会場 (1F C-1)

座長:中村 元昭(昭和大学発達障害医療研究所)

[AL5-1] 精神疾患に対するrTMS治療のエビデンス

野田賀大 (慶應義塾大学 医学部 精神・神経科学教室)

1995年にMark Georgeが6人の治療抵抗性うつ病患者に対するrTMS介入のケースシリーズを発表して以来、rTMS治療は精神科領域における新たな治療法として、徐々に臨床研究されるようになってきた。精神疾患を対象としたrTMS研究は、2020年9月時点で既に累計2700報以上が報告されている。そこで今回のアドバンスド・レクチャーでは、精神疾患を対象としたrTMS臨床研究に関して、過去3年間に発表されたシステマティック・レビューおよびメタ解析研究を中心に比較的最近の知見やエビデンスをオムニバス形式で紹介する。うつ病に関しては、左前頭前野に対する高頻度刺激を用いたrTMS治療が2008年に米国FDAから承認され、治療抵抗性うつ病に対する有用な治療選択肢になっている。しかしながら、うつ病においてそれ以外の治療パラメータを用いたrTMS治療や、うつ病以外の精神疾患に対する適用に関しては、まだ研究段階にあるものが多く、それらのエビデンスは本邦ではあまり知られていない可能性がある。よって、本アドバンスド・レクチャーでは、うつ病以外に、健常者の衝動性、物質依存、PTSD、思春期うつ病、周産期・産後うつ病、不安障害、双極性障害、強迫性障害、統合失調症、トゥーレット症候群、軽度認知障害、アルツハイマー型認知症、摂食障害等の精神疾患に対するrTMS治療の有用性や各種rTMS治療の種類について概説する。