日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

アドバンスレクチャー

アドバンスレクチャー9

2020年11月27日(金) 11:10 〜 11:40 第3会場 (2F B-2)

座長:佐々木 達也(東北医科薬科大学 脳神経外科)

[AL9-2] 覚醒下手術中の脳機能モニタリング

三國信啓 (札幌医科大学 医学部 脳神経外科)

覚醒下脳神経外科手術は、手足を動かす、話す、理解する、ものを使いこなす、計算する、など生活作業に関わる脳機能部位の近傍に存在する、脳腫瘍やてんかん焦点を、「安全かつ最大限に」摘出するための手術方法である。Penfieldらのてんかん外科手術における電気刺激による脳機能マッピングが有名であるが、覚醒下開頭手術が全世界に普及してきたのは1990年プロポフォールによる静脈麻酔とラリンジアルマスクによる呼吸管理が可能になり、手術中に一時的に覚醒状態とする麻酔科管理が安全に行えるようになってからである。脳機能イメージングやニューロナビゲーションをはじめとした手術支援器機の進歩も伴い、脳機能局在を提示したMRI上で術中脳電気刺激部位を確認しながら病変摘出する覚醒下手術手技の安全性と臨床的有用性がここ十数年の間に確立されつつある。覚醒下手術中の脳機能マッピング・モニタリングは様々な脳機能研究の中で、病態下での脳神経外科術中モニタリングを脳の生理学的側面から捉え、機能代償・回復という視点が独創的である。本講演では最も一般的な運動・言語機能モニタリングについて、電気刺激による誘発電位と随意運動の差異についての自験例を含めて解説する。