[奨励賞受賞記念講演1] 神経筋疾患の診断・評価における神経筋超音波検査の可能性の開拓
超音波技術は、第一次世界大戦の時代に、潜水艦探知のための技術として開発された。その超音波技術は、1960年代からは、産婦人科領域にて、無侵襲の画像・機能検査として医療応用が始まり、その後、消化器、循環器、泌尿器疾患の診断・評価に広く使用されるようになった。2000年以降、技術革新により、高周波数プローベが開発され、高解像度の画像が得られる超音波機器を用いて、末梢神経や筋の詳細な評価が可能となった。こうして、神経筋超音波検査は、形態学的評価が重要である整形外科領域のみならず、神経内科領域でも、神経筋疾患の診断・評価目的に用いられはじめた。超音波検査の利点は、まず、無侵襲であること、静止画による詳細な評価とともに、動画記録による動的評価も可能であること、そして、リアルタイムに形態の変化をとらえられることで、形態学的評価のみならず機能的評価も可能であること、が挙げられる。神経筋超音波検査は、電気生理検査を主の診断ツールとして機能的評価を行ってきた者にとって、形態学的な証拠によって、自分の想定した病態を裏付けるための魔法のツールのように思える。これまでより正確かつ迅速、そして、患者さんに負担を与えずに、神経筋疾患の診断・評価を行うために、この魔法のツールの可能性を自分なりに開拓してきた道程を、本学会に報告する。