[奨励賞受賞記念講演2] 脳波エントロピー解析によるてんかん焦点可視化技術の開発
脳波におけるてんかん焦点マーカーはspike、high frequency oscillations、DC電位、その他にも様々な所見に関する多くの素晴らしい研究により一部は臨床応用されているが、正常な生理的神経活動が含まれていたり、特別な脳波計測環境でないと検出できなかったりなどの問題点が依然として存在する。てんかん背景脳波活動において、てんかん性神経細胞同期活動がガンマ波(30-70 Hz)規則性に関連していることが神経生理学的に示されている。非線形解析の一種であるサンプルエントロピー法により、デジタル脳波データにおいて任意周波数規則性をエントロピーとして定量化できる。これらをうけて、発作間欠期脳波におけるガンマ波規則性のエントロピー解析を行い、汎用性のあるてんかん焦点可視化技術の開発に取り組んでいる。高密度脳波計を用いた精緻なてんかん焦点評価、動的解析を追加することによるてんかんネットワーク描出の可能性も示されつつある。さらに解析過程における規定処理の自動化によって、解析データ量産化とディープラーニング用データベース化が確立されることでAI活用の準備が整いつつある。これらの技術は誰でも使用可能な安全かつ確実なてんかん焦点診断ツールへ発展すると期待される。