50th Memorial Annual Meeting of Japanese Society of Clinical Neurophysiology (JSCN)

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ベーシックレクチャー

ベーシックレクチャー16

Sat. Nov 28, 2020 1:30 PM - 2:00 PM 第3会場 (2F B-2)

座長:白石 秀明(北海道大学病院 小児科 てんかんセンター)

[BL16-1] 焦点てんかんの脳波

上原平 (国際医療福祉大学 医学部 脳神経内科)

鋭波、棘波などの発作間欠期てんかん性放電(interictal epileptiform discharge: IED)は特異度が高い脳波所見であり、てんかんの診断に有用である。国際臨床神経生理学会用語集では、以下の6項目のうち4項目以上を満たすものをIEDとしている。(1)二相性ないし三相性の先鋭ないし尖った形態 、(2)背景活動とは異なる持続時間、(3)波形の非対称性:急峻な立ち上がりと緩徐な立ち下がり、もしくはその逆、(4)徐波の後続、(5)周囲の背景活動の中断、(6)脳内起源を示唆する信号源を示唆する陰性・陽性電位の頭皮上分布。しかし、個々の項目に関しては、主観が入り込む余地があり、IEDが同定できるようになるには、実践的な経験を積み重ねることが求められる。焦点てんかんの中で最も多いのは側頭葉てんかんであり、特に側頭部IEDの判読に慣れることが肝要である。側頭部IEDでは耳朶が活性化されることが多く、通常の基準電極導出では、一見広範囲に陽性波が分布しているように見える。複数のモンタージュを併用することが診断に必要とされる。焦点てんかんでは、一回の覚醒脳波検査でIEDが検出される確率はそれほど高くないことが知られている。症状からてんかんを疑うがIEDが出現しない場合や、IEDかどうか確信が持てない場合は、再検査を行い、典型的なIEDを検出することを目指すと良い。その際、睡眠負荷や電極の追加で検出感度を上げることが有用である。実臨床においては、非てんかん性脳波がIEDであると判断され、てんかんと誤診されることも少なくないと報告されている。誤診を少なくするためには、発作症状と脳波所見を総合的に判断することが重要である。また、IEDと間違えやすい正常波形、正常亜型、アーチファクトについても精通しておく必要がある。