50th Memorial Annual Meeting of Japanese Society of Clinical Neurophysiology (JSCN)

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ベーシックレクチャー

ベーシックレクチャー16

Sat. Nov 28, 2020 2:00 PM - 2:30 PM 第3会場 (2F B-2)

座長:上原 平(国際医療福祉大学 医学部 脳神経内科)

[BL16-2] 全般てんかんの脳波

白石秀明 (北海道大学病院 小児科 てんかんセンター)

 全般てんかんは、全般発作を持つてんかん症候群で、全般発作とは、運動性を伴うものと、伴わないものがある。
運動性を伴う全般発作
・強直発作
 体軸が強直し、頚部前屈、眼球上転、両上肢挙上、両下肢伸展強直する症状が定型的な症状である。脳波では、両側広汎性速波律動が対応する。Lennox-Gastaut症候群に必ず生じる発作症状である。
・ミオクロニー発作・ミオクロニー・強直脱力発作
 電撃的に身体がピクつき、行為が途絶する。手に持った物を投げてしまったりする。この間、瞬間的にではあるが意識は途絶しているが、時間が短く発作を想起できる場合が多い。脳波では、両側広汎性多棘・徐波複合が対応する。ミオクロニー発作は、若年ミオクロニーてんかん、乳児ミオクロニーてんかん、Dravet症候群などのミオクロニーてんかんで生じる。
 ミオクロニー発作に強直発作が合併したミオクロニー強直発作、脱力発作が合併した、ミオクロニー脱力発作もあり、これらも意識障害を伴う。
・間代発作
 全般発作としての間代発作は、両側四肢が対称的に規則的に動く。間代発作単独の症状は比較的稀で、ミオクロニーてんかんに合併するミオクロニー発作が悪化した場合に合併することがある。脳波では両側広汎性棘・徐波複合、多棘・徐波複合が対応する。
・脱力・失立発作
 体軸の保持が出来なくなり、筋トーヌスが消失する事により、転倒する。脳波では両側広汎性棘徐波複合が対応することもあるが、脳波対応を伴わない場合もある。脳波を施行時に筋電図を装着して検査を行なうことにより、発作症状の評価が可能になる。Lennox-Gastaut症候群、ミオクロニー失立てんかんで生じる。
・てんかん性スパズム
 近位筋・及び体幹の筋肉が突然進展し、その持続時間がミオクロニー発作よりも長く、強直発作より短い発作を示す。時に、顔をしかめる、頭部前屈する、かすかな目の動きだけのものもある。この発作は時に固まりを作って起こり、シリーズ形成性とも表現する。乳児期のInfantile spasmsが有名であるが、全年齢で生じる。
運動性を伴わない全般発作
・定型欠神発作・眼瞼ミオクロニアを伴う欠神発作
 欠神発作は、運動や思考が突然停止して意識消失し、速やかに回復する発作症状である。脳波では、両側広汎性棘徐波複合が、1秒間3回の頻度で出現する所見が出現する。
 定型欠神発作は、小児欠神てんかんか若年欠神てんかん症例に生じる。上記の欠神発作に合併し、眼瞼ちく溺が合併する症例がある。これが、眼瞼ミオクロニアを伴う欠神発作である。
・非定型欠神発作
 非定型欠神発作は、上記の定型欠神発作に比較し、発作の始まりと終わりが不明瞭で、発作終了後に意識混濁が持続することがある。脳波所見は、定型欠神発作に随伴する3Hz両側広汎性棘徐波複合よりも遅く、2~2.5Hz程度である。非定型欠神発作は、Lennox-Gastaut症候群に生じ、その他、症候性全般てんかん症例の中で生じる。