50th Memorial Annual Meeting of Japanese Society of Clinical Neurophysiology (JSCN)

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ベーシックレクチャー

ベーシックレクチャー17

Sat. Nov 28, 2020 2:45 PM - 3:15 PM 第3会場 (2F B-2)

座長:神 一敬(東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野)

[BL17-1] 小児てんかんの脳波

秋山倫之 (岡山大学小児神経科)

成人と同様、小児の脳波記録でも原則的に覚醒時と睡眠時の両方を記録する。睡眠時記録は局在性てんかん発射の検出感度を高めるために有用であり、小児での検出感度は成人よりも高い。覚醒時記録は発達段階の評価や賦活試験のために必要である。患者の協力が難しいからといって、睡眠時記録のみで済ませてしまうのは避けたい。
判読の際、年齢を確認した後、背景活動(後頭部優位律動、混在する徐波・速波成分、左右差・局在所見の有無)、睡眠時の生理的波形を評価する。正常所見が年齢に応じて変化するため注意が必要である。賦活試験は年少児では協力が得られないことがあるため、保護者の協力を得る、興味をひく道具を用いるなどの工夫が必要である。
小児てんかんでは年齢とともに自然寛解(自己終息性)しやすいタイプがあり、頻度が高いため、まずはこのグループに習熟する必要がある。一方、難治な経過を示し、てんかん発作型の種類が多彩なグループもある。
自己終息性てんかんの代表として、焦点てんかんでは中心側頭部に棘波を示すてんかんとPanayiotopoulos症候群がある。いずれにおいても比較的振幅が高い鋭波・鋭徐波がみとめられ、波形間の形態差が少ない。前者では中心側頭部、後者では主に後方に出現しやすく、両側からの出現が多い。睡眠時記録で頻度が著しく増すのが特徴的である。一部非典型的な経過をたどり、徐波睡眠時に持続性棘徐波を示すてんかん性脳症に移行、もしくは類似の所見を示すことがあるため、注意が必要である。全般てんかんでは小児欠神てんかんが代表的であり、覚醒時には全般性3Hz棘徐波群発をみとめ、持続が長い場合には定型欠神発作の症状がみられやすい。過呼吸賦活で発作が誘発されやすいため積極的に賦活を行う。
思春期発病の特発性全般てんかんでは、若年ミオクロニーてんかんなどが挙げられる。強直間代発作、症候群によってはミオクロニー発作、定型欠神発作がみとめられ、脳波では全般性多棘徐波(発作間欠時、ミオクロニー発作時)、3~3.5Hz棘徐波群発(定型欠神発作時)がみとめられる。脳波異常がみられない事例もあり、賦活試験や断眠時記録によりてんかん発射の検出率を上げることができる。
一方、難治なてんかんとしては、大田原症候群、West症候群、Lennox-Gastaut症候群といった年齢依存性てんかん性脳症や、早期ミオクロニー脳症、遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん、Dravet症候群などが知られている。大田原症候群ではサプレッション・バースト、West症候群ではヒプスアリスミアが発作間欠時にみられる。主なてんかん発作型はてんかん性spasmsであり、広汎性高振幅徐波にβ~γ律動が重畳し、その後に低振幅化するパターンがみられる。Lennox-Gastaut症候群では全般性遅棘徐波群発が発作間欠時および非定型欠神発作時にみられる。強直発作時には広汎性速波がみとめられる。