日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

ベーシックレクチャー

ベーシックレクチャー17

2020年11月28日(土) 15:15 〜 15:45 第3会場 (2F B-2)

座長:秋山 倫之(岡山大学 小児神経科)

[BL17-2] 高齢者てんかんの脳波

神一敬 (東北大学大学院 医学系研究科 てんかん学分野)

従来、高齢者てんかんにおける、発作間欠時てんかん性発射(IED)の検出率は26~37%と低いことが報告されてきたが、最近、我が国では72.9%と高い検出率が報告されている(Tanaka A, et al. 2013)。当科の長時間ビデオ脳波モニタリング症例における検討でも、60歳未満で75.8%、60歳以上で77.4%にIEDが検出されており、両群間に差はなかった。一方、病因によるIED検出率の違いが指摘されており、脳腫瘍群では40%、頭部外傷群では30.8%であるのに対して、脳血管障害群では15.6%と低いことも知られている(Arabi M, et al. 2018)。既報告における検出率の違いは母集団の違いに起因している可能性がある。また、IEDの波形の特徴として、高齢になるにしたがって、てんかん性棘波・鋭波の尖り(sharpness)が鈍くなること、持続が長くなることが報告されている(Aanestad E, et al. 2020)。高齢者てんかんの脳波判読に際して、てんかん性異常との鑑別が問題となる正常亜型についても概説する。IEDとの鑑別が問題となるのはウィケット棘波、発作時脳波変化との鑑別が問題となるのは成人潜在性律動性脳波発射(SREDA)である。実波形を提示しながら、てんかん性異常との鑑別ポイントを解説する。利益相反についての申告:様式1の項目のいずれかに該当しない。