[BL4-1] RNSの基礎と応用
神経反復刺激試験(repetitive nerve stimulation test; RNS)は重症筋無力症(myasthenia gravis; MG)を代表とする神経筋結合部疾患の電気生理学的評価方法として知られてきた。RNSのMGでの感度は決して高いとは言えず,また特異性も首下がり、嚥下障害という症状のみでRNSを行うとさほど高くはならない。漸減現象を認めすぐMGという判断は誤診につながる疾患が筋萎縮性側索硬化症(ALS)である。ALSとの鑑別は臨床場面で問題となることは少ないが,MGであると先入観から入り僧帽筋RNSでdecrementをみつけて流れで総指伸筋の単線維筋電図で異常を確認しALSをMGと誤診する可能性がある.漸減率によるMGとALSの鑑別も困難であり、臨床と同心円針筋電図の追加検査が必要となる。RNSが異常となる疾患は多いので今回紹介させていただく。RNSの被験筋としては,MGでは三角筋,僧帽筋,顔面筋などの近位筋が良い。またランバート・イートン筋無力症候群(Lambert Eaton Myasthenic syndrome: LEMS)は遠位筋(小指外転筋)が運動負荷をする上でも適当で十分である。ALSは短母指外転筋、三角筋、僧帽筋を行う。検査時の体制は座位で行う施設もあるが、我々は筋数が多いため、仰臥位で全て行っている。僧帽筋の肩上げ法はpseudofacilitation現象を避けることができる。刺激頻度の変更や運動負荷については,やや感度を上げる可能性はもちろんあるが,検査を正確に期すること,被検筋を増やすこと、単線維筋電図を行う事がより重要と考えている.2020年今回の学会で、我々はRNSの被検筋のCMAP下限値、漸減率の加減を発表しており、ぜひご参照いただければ幸いである。また、高頻度刺激(20-50Hz)の漸増率の正常値も構築したので、ご参照いただきたい。