日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

ベーシックレクチャー

ベーシックレクチャー9

2020年11月27日(金) 13:15 〜 13:45 第2会場 (2F B-1)

座長:木下 真幸子(国立病院機構 宇多野病院 脳神経内科)

[BL9-1] デジタル脳波の判読

寺田清人1,2 (1.てんかんと発達の横浜みのる神経クリニック, 2.NHO静岡てんかん・神経医療センター)

近年、PCの進化とともにデジタル脳波計も進化してきた。それとともに、周波数解析やスパイク検知・発作検知などの判読支援用の解析ツールも開発されてきた。しかし、これらのツールも現時点では不十分であり、臨床の場においてはいまだに判読者が波形を視察的に確認することで判読している。そのため、脳波の波形をどのように記録・表示するかは脳波の精度に重大な影響をもたらす。紙媒体のアナログ脳波計では記録時のモンタージュ、フィルタ、感度、紙送り速度などの条件で波形が固定されていたが、デジタル脳波計ではこれらの設定を記録後に変更することが可能となった。モンタージュには大きく双極誘導と基準電極誘導があり、それぞれで利点と欠点がある。双極誘導では局在性の異常所見は同定しやすいが全般性の異常所見を見誤りやすく、基準電極誘導では脳波活動の分布を把握しやすいが基準電極の活性化を生じると異常を見誤りやすい。そのため、脳波で所見を認めた場合にはそれぞれの利点を生かし、欠点の少ないモンタージュで判読することが理想である。フィルタ、感度、紙送り速度なども目的とする波形を表示するのに最も適切な設定に変更することが望ましい。本レクチャーでは、デジタル脳波計を用いて脳波を判読する際に、どの様に考えてどの様に設定を変更するのかを、実際に脳波計を操作しながら解説する。