[CSP11-1] 閉塞性睡眠時無呼吸と思っていたら、実は・・・-睡眠技士が常時監視PSGを通じて発見するもの-
睡眠関連疾患の診療において、終夜睡眠ポリグラフィ(Polysomnography: PSG)は、睡眠技士による常時監視が国際的にデフォルトとされている。睡眠技士はPSGをオーダーした医師のカルテ記載内容を検査前に確認するとともに、直接患者や可能な限り家族からも訴えを聞く必要がある。それらの情報からどのような現象が起こりうるかを予測し、観察だけでなく、睡眠中の異常行動などで患者に危険が及ぶ時は適切なタイミングで介入を行っていく。また、予測される現象が浅いノンレム睡眠の時期に起こりやすいのか、深いノンレム睡眠の時期なのか(例:ノンレムパラソムニア)、あるいはレム睡眠の時期なのか(例:レム睡眠行動異常症、軽症の閉塞性睡眠時無呼吸)がわかっていると、どこで集中して観察すべきかという予測が立ち、常時監視の強弱をつけることができる。こういった観察の過程で患者や家族の訴えとは異なる思いがけない現象を発見することがあり、そこから見落としていた疾患の診断につながることもある。
一般的に睡眠中に起こる現象は患者本人が自覚しないまま、ベッドパートナーが気付くことが多い。しかし、ベッドパートナーも本人の睡眠中の様子を常に観察しているわけではなく、またその現象に関しての詳しい知識がないため、適切な描写を本人に伝えられていないことも多い。したがって、患者本人がベッドパートナー抜きで受診した場合、指摘された内容を伝え聞きで医師に訴えることから、医師も詳細な情報やそれに付随する他の現象を聞き取りづらく、とりあえず本人の訴えに応じた検査オーダーをするということになる。
睡眠関連疾患の中では、睡眠中のいびきや無呼吸の訴えで検査をする患者が多いが、演者自身が睡眠技士として初心者であった時代に、本人や家族がいびきを訴え検査を施行したところ、吸気に合わせていびきとは異なる大きな音が断続的に出現し、全身を使って必死に呼吸をしているとしか言いようのない、それまでに経験した閉塞性睡眠時無呼吸患者では見たことのない光景に出会い衝撃を受けた経験がある。検査中にはこの大きな音の正体がわからず、翌朝主治医に報告したところ、睡眠中の声帯開大不全により出現する咽頭喘鳴(stridor)であり、多系統萎縮症で見られる症状との説明を受け、検査の翌朝に見過ごされていた神経変性疾患が疑われるに至った。このような症例だけでなく、患者自身やベッドパートナーが気づかないだけで、主訴以外の現象がPSG中に出現する症例が一定数認められる。検査時の患者の状態を適切に把握し判断することが早い診断につながることもあり、睡眠技士が常時監視PSGを行うことの意義は大きいと考えられる。
一般的に睡眠中に起こる現象は患者本人が自覚しないまま、ベッドパートナーが気付くことが多い。しかし、ベッドパートナーも本人の睡眠中の様子を常に観察しているわけではなく、またその現象に関しての詳しい知識がないため、適切な描写を本人に伝えられていないことも多い。したがって、患者本人がベッドパートナー抜きで受診した場合、指摘された内容を伝え聞きで医師に訴えることから、医師も詳細な情報やそれに付随する他の現象を聞き取りづらく、とりあえず本人の訴えに応じた検査オーダーをするということになる。
睡眠関連疾患の中では、睡眠中のいびきや無呼吸の訴えで検査をする患者が多いが、演者自身が睡眠技士として初心者であった時代に、本人や家族がいびきを訴え検査を施行したところ、吸気に合わせていびきとは異なる大きな音が断続的に出現し、全身を使って必死に呼吸をしているとしか言いようのない、それまでに経験した閉塞性睡眠時無呼吸患者では見たことのない光景に出会い衝撃を受けた経験がある。検査中にはこの大きな音の正体がわからず、翌朝主治医に報告したところ、睡眠中の声帯開大不全により出現する咽頭喘鳴(stridor)であり、多系統萎縮症で見られる症状との説明を受け、検査の翌朝に見過ごされていた神経変性疾患が疑われるに至った。このような症例だけでなく、患者自身やベッドパートナーが気づかないだけで、主訴以外の現象がPSG中に出現する症例が一定数認められる。検査時の患者の状態を適切に把握し判断することが早い診断につながることもあり、睡眠技士が常時監視PSGを行うことの意義は大きいと考えられる。