[CSP13-3] 新しい診療ガイドラインを見据えた重症筋無力症の治療戦略
重症筋無力症(MG)の治療はこの10年で様変わりしている。長いこと全身型MG治療のゴールデンスタンダードであった「胸腺摘除術+高用量ステロイド」という治療方法は患者の生活の質(QOL)という観点から決して推挙すべきでないことが次第に明らかになり、それに代わる方法が追求されてきた。 そこで、治療目標「軽微症状以上で、かつプレドニゾロン内服量が5mg以下」(略してMM5)が樹立された。従来の治療ではMM5を達成できる頻度は多くない。このため、少量の経口ステロイド、免疫抑制薬の早期使用、早期速効性治療(病初期から免疫グロブリン、血漿交換などを行う)が推奨された。これらとステロイドパルスをうまく組み合わせることで治療効果はさらに上がる。この結果、本邦における治療目標達成率は確実に上昇し、QOLは改善した。すなわち、全身型MG治療のスタンダートは「早期速効性治療+低用量ステロイド」へとシフトしたといえる。 近年、分子標的薬であるエクリズマブが登場し、MG治療に大きな変革をもたらしたが、現在なお新薬の治験が目白押しである。本講演では新しいガイドラインのポイントを紹介しつつ、各種の分子標的薬についても紹介し、MGの新しい治療戦略について理解していただくことを目的とする。