50th Memorial Annual Meeting of Japanese Society of Clinical Neurophysiology (JSCN)

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関連学会合同シンポジウム

関連学会合同シンポジウム16 神経痛性筋萎縮症(NA):新しい概念を巡って (日本末梢神経学会)

Fri. Nov 27, 2020 3:00 PM - 4:30 PM 第5会場 (1F C-2)

座長:園生 雅弘(帝京大学医学部脳神経内科)、加藤 博之(信州大学医学部附属病院 整形外科/流山中央病院 手肘・上肢外科センター)

[CSP16-5] 内科的治療について

宮本勝一 (近畿大学 医学部 脳神経内科)

神経痛性筋萎縮症(NA)に対する治療は、急性期の疼痛には消炎鎮痛薬を用い、運動麻痺に対しては理学療法を行うという対症療法が主流であったが、軽快する症例は少なく、半数以上で疼痛が残存するため、より効果的な治療法が検討されてきた。NAの病態は未だ不明であるが、外傷や手術、妊娠や出産、ワクチン接種、先行感染などに続発することが多く、病理学的にも神経上膜や神経周膜の血管周囲にリンパ球浸潤を認める症例が報告されていることから、自己免疫学的機序が関与している可能性が示唆される。また、ギラン・バレー症候群(GBS)に特異的な抗ガングリオシド抗体が検出されるNAも存在し、GBSの基本治療である免疫グロブリン静注療法(IVIg)が有効であったとの症例報告も散見される。これらの知見は、NAに対して免疫療法が試みられる動機となった。副腎皮質ステロイド薬は、発症後1ヵ月以内に内服することで疼痛期間が短縮し症状回復に有用であったと報告されている。しかし、診断に1ヵ月以上かかる症例も多いため、そのような症例への治療効果は乏しい。一方IVIgは、急性期であれば、従来のステロイド単独治療に比べて明らかに有効性が高いという報告があり、また、発症後1ヵ月以上経過したNAにおいても、IVIgとステロイドパルス治療を併用すると有効であったとの報告もあり、副腎皮質ステロイド薬よりも有効性が期待できる。しかし、これまでの報告は症例報告や少数例における後方視的研究であり、エビデンスとしては限定的である。今後、どのような症例に適応があるのか検証してゆく必要がある。