[CSP23-5] 脊髄モニタリングの有用性について
脊髄モニタリングは早期に障害を検知し、術中および術後における脊髄の不可逆的な障害、合併症を予防することを目的としている。当院では年間約400例の脊椎手術を行っており、そのうちの約85%は頚椎症性脊髄症、腰部脊柱管狭窄症といった脊椎変性疾患が占めている。2011年からは臨床検査技師がモニタリングを担当するようになり、脊椎手術のほぼ全症例で実施している。手術操作において神経損傷を回避すること、安全に止血することは重要である。特に最小侵襲脊椎手術では狭い術野であるため注意を要する。モニタリングが安全な手術の一助となる一方で、誘発電位は麻酔薬、筋弛緩薬、体温、血圧、年齢、術前からの神経学的所見など、さまざまな要素が複雑に干渉し合うため、波形の解釈に難渋するケースが多い。今回、脊髄モニタリングの有用性について当院で経験した症例を提示し、モニタリングの実際と併せて報告する。