[CSP3-1] 救急・集中治療現場での急性症候性発作
救急・集中治療における生体情報の監視を行うモニタリングは必須であり、呼吸・ 循環に関するモニタリングは充実しているが神経系のモニタリングは、これらに比較して充実しているとはいえない状況である。頭蓋内の中枢神経は骨に周囲を囲まれた半閉鎖空間に存在し、他の臓器と異なる環境に置かれている。また、意識障害患者や治療において鎮静剤、筋弛緩薬あるいは静脈麻酔薬を使用した際の患者の神経症状の悪化を評価することは困難であり、中枢神経の生体情報をモニタリングすることは必須と考えられる。現在いくつかのモニタリング機器が存在するが、この中でも以前より行われてきた脳波検査は中枢神経系における有用な検査として認識されている。近年、さらに、非侵襲的でありリアルタイムな病態把握が可能なモニタリングデバイスとしてその重要性がさらに再認識されつつある。特に救急・集中治療の現場にける急性症候性発作の診断および治療効果判定には脳波検査は必須である。しかしながら、その有用性にもかかわらず脳波検査およびモニタリングとしての脳波が日常診療として一般化されているとはいいがたい。 我々の施設において、心肺停止後の蘇生後脳症の脳機能の評価、急性症候性発作の有無、治療効果判定、または意識障害およびけいれんにて発症した疾患、あるいは頭部外傷を受傷したが画像検査と臨床症状が合致しない症例などに対して急性症候性発作を疑い、その診断、治療効果判定を行う際には脳波検査を施行している。今回われわれは、当院においてこれらの急性症候性発作をきたした疾患、および外傷をもとに現況と今後の展望を述べる。また、年々進行する超高齢化社会を迎え、さらに今年になりCOVID-19感染症により救急・集中治療の診療も大きく変わり、この環境下における今後の急性症候性発作に関しての診療にも変化をきたしている。このような状況で、脳波検査あるいはモニタリングとしての脳波に関する現況と今後の展望に関して述べる。