[CSP3-3] てんかん重積に対する救急集中治療
てんかん重積は生命の危険とともに脳神経に不可逆な障害を生じる可能性があり救急集中治療において適切な対応が必要となる。そのいずれの観点からも、迅速かつ確実な痙攣停止が重要であるが、同時に循環呼吸を維持し安定させることが必要不可欠となる。ここで第一選択薬に関してはベンゾジアゼピンで異論はないと思われるが、第二選択薬に関してはてんかん重積のcontroversyとなっている。確実な痙攣停止のためだけでなく、第一選択薬として使用するジアゼパムやロラゼパムは短時間作用型であるためその後のてんかんの再発抑制のためにも第二選択薬の投与が必要となり、ホスフェニトインFPHT、レベチラセタムLEVが本邦での選択肢となる。LEVは海外の臨床試験でもPHT/FPHTと同等、循環に影響しにくく安全性が高いためてんかん重積初期診療に適していると考えられるが保険適用がなかった。本邦のDPCを解析したところ、てんかん重積の初期診療においてもLEVの使用頻度は増加しており2017年以降FPHTよりも多くなっていた。またpropensity score matchingをしてもLEVとFPHTの有効性は同等である一方で昇圧薬の使用はLEVで有意に少なく安全性が示唆された。そこで我々は日本救急医学会主導研究として、LEVとFPHTの非劣性を検証、最終的にLEVのてんかん重積に対する保険適用拡大を目的とし、てんかん重積に対するLEV、FPHTを比較する多施設RCTを2019年12月より開始した。抄録作成時点で46人の登録が行われている。本シンポジウムにて、救急集中治療医の視点からのてんかん重積診療と我々の取り組みを紹介したいと考える。