日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

教育講演

教育講演14

2020年11月27日(金) 09:00 〜 10:00 第2会場 (2F B-1)

座長:荒木 敦(中野こども病院)

[EL14] 脳波記録と判定上に於けるアーチファクトの鑑別

山田徹 (アイオワ大学 脳神経内科)

脳波記録には脳波以外に種々の電気現象によるArtifactの導入は避けられない。それらのartifactsを適格に、正確に鑑定、鑑別をする事により信頼性のある脳波判読となる。脳波のArtifactには1)Physiological, 2)Mechanical,3)Electrical に大別できる。Physiological Artifactとしては眼球の動きによるEOG(Electrooculogram),筋肉からのEMG, 心臓からのECG, 舌,咽頭 の動きによるGlossokinetic Potential,汗腺からのSweat Gland Potential等がある。眼球運動はFp1, Fp2 電極以外にInfra-orbital電極,左右のOuter Canthus電極(一つは眼球水平線よりも上にもう一つは水平線よりも下)を設置する事により鑑別が出来る。上下の眼球運動はFpとInfra-orbitalの波の位相が逆転、左右の運動はF7とF8の波の位相逆転で鑑別出来、更にOuter Canthus の波は目の動きがConjugateであるり限りすべての眼球運動で位相が逆転する。 前頭葉優位のDelta波とEOG, Glossokinetic Potentialとの鑑別が困難な事がある。Glossokinetic Potential はEOGとは異なり振幅、頭皮上分布に大きな個人差がある。更に前頭葉Delta波と Glossokinetic Potentialは双方ともFpとInfraorbitalの波は同じ位相で僅かな違いは前頭葉Delta波はFpでの振幅が多少Infra-orbitalよりも大きく、Glossokineticの場合はその逆である事からしか鑑別方法がい。EMG ArtifactはHigh Frequency Filterを70Hzから15Hzに下げる事により容易に除去出来るが、その場合Tonic Muscle Artifactは脳波と区別のつかないBeta波に、Muscle Twitch ArtifactはSpike様の波になるので注意を要する。ECG Artifact、及びPulse Artifactは規則的な波形と周期で鑑別出来るが異常EKG又は不規則な周期に場合には異常脳波に類似する。Mechanical Artifactは患者の様々な動きによって起こり特に律動的な動きによるArtifactはてんかん発作波と誤診する可能性がある。Artifactの場合には波の分布がスムーズに移行するDipole Distributionでない為SeriesのBipolar Recoding で Double, Triple Phase Reversalなる事が多く真の脳波と鑑別できるが、時にはComputer Detectionもてんかん発作波と誤診する事が多い。Video-EEGによる最終確認が大切である。Mechanical Artifactでもう一つ誤診し易いのは呼吸によるArtifactで特にICUでRespiratorを装着した患者によく見られる。Artifactの波形は様々で脳波とは区別不可能で規則的周期で起こるのでPeriodic Dischargeと誤診し易い。Respiration Tubeを動かしたりSuctionによって消失し最終的にはVideoによって確認する必要がある。この講演には数多くのVideo-EEGをPresentationする。