50th Memorial Annual Meeting of Japanese Society of Clinical Neurophysiology (JSCN)

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ランチョンセミナー

ランチョンセミナー12 痙縮治療 共催:帝人ヘルスケア株式会社

Fri. Nov 27, 2020 12:00 PM - 1:00 PM 第5会場 (1F C-2)

座長:内山 卓也(近畿大学 脳神経外科)

[LS12] 脳血管障害における下肢変形に対する痙縮療法

田島文博 (和歌山県立医科大学 リハビリテーション医学講座)

脳血管障害による痙性片麻痺を発症した急性期からリハビリテーション科医と療法士によるリハビリテーション治療を行うことで、装具歩行は可能となる。しかし、その後に痙縮による下肢の変形を来たす。主な変形要素は「尖足」「内反」「槌趾」である。下肢において、痙性自体は麻痺側の支持性に貢献しているが、内反尖足変形が強いと足部変形を来たし、最悪の場合胼胝形成による疼痛で歩行機能が著しく低下する。そこで、歩行機能の再建のために、下肢痙縮の治療を行う。ボツリヌス療法は麻痺を治すわけではなく、理学療法・装具療法・ボツリヌス療法の併用により歩行機能が改善する。変形が改善することで、装具の適合が良好となり、歩行速度や歩行の安定性が向上するため、活動性が高まる。また、胼胝や創を形成していた場合には,これらが改善することで、痛みが軽減あるいは消失する。理学療法・装具療法・ボツリヌス療法を併用したリハビリテーション治療を行うことで、ボツリヌス療法の効果が消えることはない。もちろんその後も外来診察を続け、必要な時にボツリヌス療法を施行すれば、さらに歩行機能改善の成果が得られる。例えば、内反変形に対する標的筋には下腿三頭筋、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋などがあり、麻痺側股関節の内転に対しては股関節内転群(長・短内転筋、大内転筋)やハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)に施注する。運動学をよく理解し、患者毎に最適な施注筋と施注量を決定する。正確な施注では超音波が推奨される。治療の実際を紹介し、痙縮治療の有用性を紹介する。