日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

ランチョンセミナー

ランチョンセミナー13 統合失調症の世界~統合失調症治療におけるロナセンテープの役割~ 共催:大日本住友製薬株式会社

2020年11月27日(金) 12:00 〜 13:00 第6会場 (2F I)

座長:矢部 博興(福島県立医科大学)

[LS13] 統合失調症の世界~統合失調症治療におけるロナセンテープの役割~

木下利彦 (関西医科大学 精神神経科学教室)

Art Brut(アール・ブリュット:生の芸術)は、芸術教育を受けていない人々の、内的衝動に駆られて作り上げられた芸術で、知的障害や精神障害(主に統合失調症)の人々の作品が多く含まれます。当然ながら、ギャラリーや美術館や大学から隔絶されたところで、作品が作られています。日本でも関心が高まっています。講演の前半は、統合失調症の人々が描くアール・ブリュットのすばらしい世界をご紹介します。
後半は統合失調症の薬物治療に関してお話しさせて頂きます。長年経口剤を中心とする薬物療法がおこなわれてきましたが、病態や病期による使い分けが必要と考えられるようになってきました。統合失調症患者の薬物治療に対するニーズは多様であり、個々の嗜好性に合わせた治療提案を行うことが統合失調症治療のゴールを目指すためには重要であると考えられます。このたび、既存薬とは異なる投与経路を有した経皮吸収型製剤ロナセンテープが世界で初めて上市され約1年が経ちました。これまでにない新たな治療選択肢の提案が可能になることで、より豊かな統合失調症患者―医師間のSDM(Shared Decision Making)が行われることが期待されます。統合失調症の新たな治療ストラテジーについて考える機会にしたいと思います。