日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会

講演情報

ランチョンセミナー

ランチョンセミナー14 脊椎手術後のSCS による後療法 共催:メドトロニックソファモアダネック株式会社

2020年11月27日(金) 12:00 〜 13:00 第7会場 (2F J)

座長:石井 賢(国際医療福祉大学 医学部 整形外科学)

[LS14] 脊椎脊髄由来の慢性疼痛に対する脊髄刺激療法

山本慎司 (大西脳神経外科病院 脳神経外科)

 脊髄刺激療法(Spinal Cord Stimulation:SCS)は神経調節療法(neuromodulation)の一つで、刺激電極を有するリードを脊椎硬膜外腔に留置し、植え込み型の神経刺激装置を用いて脊髄後索に微弱な電気刺激を持続的に加え疼痛緩和を得る治療法で、本邦では1992年に保険適応となり、脊髄障害性疼痛やFailed Back Surgery Syndrome(FBSS)、脳卒中後疼痛、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、帯状疱疹後神経痛(PHN)、糖尿病性ニューロパチーなど、様々な難治性慢性疼痛に対し施行されてきた。さらに多極リードやマルチプログラミングが可能な神経刺激装置の登場により広範囲に多彩な条件の脊髄刺激が可能となり、加えて全身MRI撮像に対応したデバイスの登場により、難治性疼痛治療においてSCSの有効性が再び注目されている。
 SCSの効果発現はゲートコントロール理論に基づき、得られた刺激感(paresthesia)が疼痛部位にオーバーラップすることで疼痛軽減が得られるとされている。一般的にはまず局所麻酔下に硬膜外腔へリードを留置し、試験刺激による詳細なparesthesia mappingを行い疼痛軽減効果を確認する。その後数日間かけて様々な刺激プログラムや日常動作に応じた疼痛緩和効果を確認できた症例に対し、腹部皮下ポケットに神経刺激装置を植え込む。以後も外来診療にて症状に応じて投薬や刺激プログラムを調整し、患者ADLの改善を図る。この手技では腰痛よりも下肢痛に対する疼痛緩和効果が大きいとされているが、近年paresthesiaに効果が依存しないT9-10椎体レベルでのHigh-Dose刺激の難治性腰痛に対する有効性が示され、試験刺激判定も容易となった。また従来からの下肢症状をメインターゲットとしたparesthesia mappingに基づいたSCSと組み合わせることで、強い腰痛症状を伴う脊髄障害性難治性疼痛やFBSSなどに対しても、SCSによりさらなる疼痛緩和効果が期待できる状況となっている。
 本講演にて、SCSの適応、患者選択、硬膜外リード留置から刺激装置埋め込みまでの流れと実際の手技、外来診療での疼痛コントロールの工夫や注意点などについて症例交え紹介する。特にこれからSCSの導入を検討されている各科の先生方の一助となり、一人でも多くの難治性疼痛患者さんの症状改善が得られれば幸いである。