[LS2] 運動制御を捉える臨床動作分析
リハビリテーション医療は、ヒトとしての活動を支えるためのありとあらゆる方略を活用し、その効果を検証することで発展してきた。例えば下肢装具は、動的な姿勢制御の中で身体を支持し、歩行運動の効率化を誘導すると考えられる種々の機構が考案されてきており、それらの中でどのパーツを適用するべきかを見極める能力が求められるようになってきている。歩行再建においては、歩行速度や持久性など、移動手段としての達成度を評価することが必須となるが、その効果を予測する臨床力を習得するには、治療対象とするべきパフォーマンスにおける運動制御がいかなるものであるかを分析し、その問題の本質を正しく理解することが重要になる。運動学的(kinematics)・運動力学的(kinetics)事象と生体電気現象の計測ならびに解析が基盤となり、近年では、これらのデータから臨床的に有用な情報を発掘するデータ・マイニングが展開されている。
実臨床における定量的動作分析の普及には、精度の向上のみならず、同期計測技術やウェアラブルセンシング技術が大きく貢献している。運動学的分析は、光学式モーションキャプチャーが主流であるが、加速度センサーや角速度センサーなどによるウェアラブルセンシングや、反射マーカーを使用しない3次元動作解析の導入によって、特定の計測ブースが不要になっている。一方で、ドリフト現象などへの対応として、環境や計測時間への配慮を要する。
全身運動における姿勢制御様式を運動力学的に分析する床反力計測は、重力環境下における筋出力の結果を直接的に捉えることができる。トレッドミル内蔵の計測システムによって、歩行訓練での力学的モニタリングが可能となっている。一方、インソール式圧センサーは、姿勢制御の支点となる圧中心の変位を簡便に同定する手段として有用である。
筋活動を非侵襲的に長時間計測できる表面筋電図は、筋出力を発揮しようとする‘neural drive’を間接的に捉える手法として用いられる。多関節運動の評価においては、それに関わる主動筋の活動を運動学的計測と同期して総合的に捉えることが重要になる。表面筋電図データを整流して加算平均した振幅値を正行列と捉えて非負値行列因子分解(NNMF)を適用すれば、複数の筋活動パターンを活動量の異なる重み付けで構成された構成要素(module)に要約できる。
本講演では、機能再建を目指すリハビリテーション治療における臨床動作分析の有用性と課題について概説する。(本講演の内容の一部は、AMED先進医療機器・システム技術開発事業の助成(課題番号JP20he2202005)による。)
実臨床における定量的動作分析の普及には、精度の向上のみならず、同期計測技術やウェアラブルセンシング技術が大きく貢献している。運動学的分析は、光学式モーションキャプチャーが主流であるが、加速度センサーや角速度センサーなどによるウェアラブルセンシングや、反射マーカーを使用しない3次元動作解析の導入によって、特定の計測ブースが不要になっている。一方で、ドリフト現象などへの対応として、環境や計測時間への配慮を要する。
全身運動における姿勢制御様式を運動力学的に分析する床反力計測は、重力環境下における筋出力の結果を直接的に捉えることができる。トレッドミル内蔵の計測システムによって、歩行訓練での力学的モニタリングが可能となっている。一方、インソール式圧センサーは、姿勢制御の支点となる圧中心の変位を簡便に同定する手段として有用である。
筋活動を非侵襲的に長時間計測できる表面筋電図は、筋出力を発揮しようとする‘neural drive’を間接的に捉える手法として用いられる。多関節運動の評価においては、それに関わる主動筋の活動を運動学的計測と同期して総合的に捉えることが重要になる。表面筋電図データを整流して加算平均した振幅値を正行列と捉えて非負値行列因子分解(NNMF)を適用すれば、複数の筋活動パターンを活動量の異なる重み付けで構成された構成要素(module)に要約できる。
本講演では、機能再建を目指すリハビリテーション治療における臨床動作分析の有用性と課題について概説する。(本講演の内容の一部は、AMED先進医療機器・システム技術開発事業の助成(課題番号JP20he2202005)による。)